今日は数年前の出来事を話したいと思います。
ある日私は、夢を見ていました。
まだ実家に住んでいた頃です。私は2階の自室で眠っていました。
するとどこからともなく、大量のあひるの鳴き声が聴こえてきて、私は目を覚ましました(夢の中で目を覚ましただけであって実際はまだ寝ているので夢の中の話です)。
カーテンをシャーっと開けると、家の前にあひるが大量にいて、鳴き声の正体はそのあひる達だということがわかりました。
なにか、不気味なくらい、鳴いていました。
なにか、あったのだろうなと思い、2階の窓からそのあひるの大群を見ていると、どうやらその中の一羽が亡くなっているようで、そのあひるを囲んで他のあひるが大騒ぎしているようなのです。
しばらくすると、その亡くなっている一羽のあひるを、他のあひる達が持ち上げて、天まで連れ去っていきました。
天まで昇っていきました。
ゆっくりと。
そして私は現実で目を覚ましました。
別にこの夢を見て、不思議な夢だとは思わなかったのでとくにその時は誰かに話そうと思いませんでした。
起きてトイレに行くと…。
トイレに置かれてあった、姉がおそらく学生時代につくったであろうあひるのおまるの形をした灰皿がわれていました。
正直、その灰皿が無くなっていたから、"灰皿が無かったけどどうしたの?"と聞いて、"われたから処分したんだよ。"と言われて、われたことが判明したのか、われているのをこの目で見たのかは覚えていません。
とにかく、われていたそうです。
そして、母から、"おじいちゃんが亡くなった。"と、聞きました。あひるの夢を見た日、灰皿がわれた日と、同じ日です。
なんか、こういうのいきなりわれたりするの、よくないよね。等と言っていたような気がします。
私は夢の話をしました。
すぐにしたか、しばらくしてしたかは忘れてしまいましたが、母はバカにせず聞いてくれました。
あの、夢の中のあひるは、おじいちゃんだったのでしょうか。
一羽が亡くなってはいたものの、ゆっくり天までたくさんのあひるが昇っていく夢は、決して悪夢のようには思えませんでした。
たくさんのあひるに見送ってもらえて、あのあひるも幸せだろうと思いましたが、起きた時にあひるのおまるの形をした灰皿がわれていたというのは、少しショックでした。
これは未だに、たまたまだったのか予知夢だったのか分かりませんが、こういうことがありました。
読んでくださり、ありがとうございました。
また次のお話で会いましょう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。