あなた『…こんな時だけ優しくしないで』
大吾『…』
西畑大吾は抱きしめながら頭を撫でた。
そしてゆっくり離れる。
大吾『…ほんま見る目ないわ』
あなた『…誰が』
大吾『藤原』
あなた『…あんたも見る目ないわね』
なんで私なんだか。
ただの面倒臭い女でしかないのに。
大吾『今日、俺ん家泊まってき』
あなた『…』
大吾『もう遅いし』
そう言って西畑大吾は他の部屋へ向かった。
そしてちょっと経ってから戻ってきた。
大吾『はいこれ』
あなた『…これ着るし』
大吾『それ洗濯せなあかん』
手に持っていたのは西畑大吾のシャツだった。
大吾『お風呂入れといたからはよ入り』
あなた『…ありがと』
今日は彼に甘えることにしよう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!