大吾『なにか悩み事でも?』
あなた『…貴方には関係ないわ』
大吾『えー、聞きたいな?』
そう言って彼はキュルキュルした瞳でそう言う。
それに弱い私は全て話した。
大吾『へー…じゃああなたさんはその彼女のことが嫌いなんや?』
あなた『…まぁ、そうね』
大吾『そりぁ、あっさり取られたら嫌になるわな』
あなた『…』
大吾『で、どうするつもりなんですか?』
あなた『…意地でも奪ってやるつもりよ』
大吾『…悪い女やな』
そう言って彼はニヤッと笑う。
その顔に一瞬胸がドキッとする。
大吾『あなたさんみたいな女性、俺めっちゃ好きやねん』
あなた『…口説いてるつもり?』
大吾『おん、口説いとる』
あなた『悪いけど、そんな簡単な女じゃないから』
私は会計をする。
大吾『次いつ来るん』
あなた『気が向いたら行くわ』
大吾『待ってるから』
あなた『…会えるといいわね』
私はそう言って彼に微笑み、バーを出た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!