あなた『…ばか』
今更そんな事言わないでよ。
丈一郎『…誰?』
あなた『…友達』
そう言って私は携帯を伏せて机に置いた。
丈は私の隣に座る。
丈一郎『…あなたはさ』
あなた『…』
丈一郎『…なんもない』
そう言ってテレビをつける。
“結婚”
ちょうど芸能人の結婚ニュースだった。
あなた『…結婚、か』
私だってもう結婚してもいい歳。
周りの友達は皆、結婚し始めている。
焦りだってある。
でも
丈一郎『…』
結婚したいなんて
思わない。
今の私の心には誰がいるのか分からなくなったから。
丈一郎『…はぁ』
あなた『…』
すると丈はテレビを消した。
丈一郎『…ごめん、やっぱもう無理や』
あなた『…どうしたの?』
丈一郎『…今、考えてるのは誰や』
急に変なことを聞く。
あなた『…丈に決まってるじゃん』
丈一郎『…ならさ、心におるんは誰?』
あなた『…へ?』
丈一郎『…頭の中に俺がおるのは分かっとる』
丈一郎『でも心におるんは違う男やろ?』
そう言って丈は私を見つめた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。