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第1話

出会い
74
2019/08/16 13:51



____夏





後ろから扇風機の風が私の首らへんに当たっていた。
それでも暑かった。
勉強机の上にある、目が痛くなるほどの数字が沢山書いてある数学のワークに目線を落として夏休み明けのテストに向けて勉強をしていた。
もうすぐ夏休みが終わってしまうところだった。


右端に置いてある冷えてあったペットボトルのお茶。
暑さによってか、大きな水滴がペットボトルに沢山付いていた。もう冷たさはなくなっていた。
それでも喉に流し込んだ。
休憩しようと思い、椅子の背もたれに寄りかかった。

スマホをいじるわけでもなくなんとなく、本当になんとなくだった。
引き出しを開けた。
忘れていた。それ があることを完全に忘れていた。



" 一枚の手紙 "





___ジョングクくんへ








その年の夏休みは良い終わり方をさせてくれなかった。









✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽












_____春


今日は高校の入学式だ。
正直緊張はしてない…と言ったら嘘になる。
ちょっと、ちょっとだけ、緊張している。

それでも今私の隣には


〈緊張してる??私めーっちゃ緊張してるんだけど!!やばい…!ああああああ〉
『ユナちゃん、落ち着いて笑笑』


保育園の時から一緒で仲が良い親友のユナちゃんという子がいる。
いつもユナちゃんはテンションが高い。


〈あなた緊張しないの!?〉
『そりゃあちょっとは緊張してるよ笑』
〈ちょっと!?ちょっと所じゃないよ〜〜〉
『なんでそんな緊張してるの?』
〈クラスあなたと離れたら嫌じゃん!〉
『確かに!それは私もやだ!!』
〈ほら〜〜〜〉
〈『笑笑笑笑』〉

なんて朝から騒ぎっぱなし。
でもやっぱりすごく楽しい。


〈やった!!一緒!!!〉

クラス表を見に行った。
C組で、私の上にユナちゃんの名前があった。
よかった。
凄く嬉しい。

『やったね!!』













教室に着くともう人は結構いた。
私の前にユナちゃんの席。



「よろしくね」

右隣から声がした。
声がするほうを見ると顔立ちが整った男の子だった。優しく微笑んでいた。少し見惚れてしまいそうだったがなんとか制御して直ぐに返した。

『うん、よろしくね』












「俺、チョン ジョングクって言います」
「君は?」






この日が私と彼が出会った春。

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