前の話
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____夏
後ろから扇風機の風が私の首らへんに当たっていた。
それでも暑かった。
勉強机の上にある、目が痛くなるほどの数字が沢山書いてある数学のワークに目線を落として夏休み明けのテストに向けて勉強をしていた。
もうすぐ夏休みが終わってしまうところだった。
右端に置いてある冷えてあったペットボトルのお茶。
暑さによってか、大きな水滴がペットボトルに沢山付いていた。もう冷たさはなくなっていた。
それでも喉に流し込んだ。
休憩しようと思い、椅子の背もたれに寄りかかった。
スマホをいじるわけでもなくなんとなく、本当になんとなくだった。
引き出しを開けた。
忘れていた。それ があることを完全に忘れていた。
" 一枚の手紙 "
___ジョングクくんへ
その年の夏休みは良い終わり方をさせてくれなかった。
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_____春
今日は高校の入学式だ。
正直緊張はしてない…と言ったら嘘になる。
ちょっと、ちょっとだけ、緊張している。
それでも今私の隣には
〈緊張してる??私めーっちゃ緊張してるんだけど!!やばい…!ああああああ〉
『ユナちゃん、落ち着いて笑笑』
保育園の時から一緒で仲が良い親友のユナちゃんという子がいる。
いつもユナちゃんはテンションが高い。
〈あなた緊張しないの!?〉
『そりゃあちょっとは緊張してるよ笑』
〈ちょっと!?ちょっと所じゃないよ〜〜〉
『なんでそんな緊張してるの?』
〈クラスあなたと離れたら嫌じゃん!〉
『確かに!それは私もやだ!!』
〈ほら〜〜〜〉
〈『笑笑笑笑』〉
なんて朝から騒ぎっぱなし。
でもやっぱりすごく楽しい。
〈やった!!一緒!!!〉
クラス表を見に行った。
C組で、私の上にユナちゃんの名前があった。
よかった。
凄く嬉しい。
『やったね!!』
教室に着くともう人は結構いた。
私の前にユナちゃんの席。
「よろしくね」
右隣から声がした。
声がするほうを見ると顔立ちが整った男の子だった。優しく微笑んでいた。少し見惚れてしまいそうだったがなんとか制御して直ぐに返した。
『うん、よろしくね』
「俺、チョン ジョングクって言います」
「君は?」
この日が私と彼が出会った春。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。