第146話

迫り来る期末考査
1,746
2022/10/04 10:00
一佳ちゃん、物間くんと別れた私は、一週間ぶりに
A組の寮の扉を開ける。




いつものように皆の明るい声が
聞こえてくるんだろうなって思ったら、



共同ルームは誰一人いない。



物音ひとつしない、静寂に包まれていた。





あなた 「え、みんな寝た?」




私は携帯を開いて時間を確認する。



現在の時刻19時15分。



皆ご飯を食べ終わって、共同ルームに集まって雑談に花を咲かせている時間帯だ。





一体どうして??

私は考えを巡らせる。





今までの寮生活で、この時間帯に共同ルームに居ない出来事といったら………















あなた 「………あ、」




渚 「お姉ちゃぁぁぁぁぁん!!おかえりぃぃぃ!」



私が答えに辿り着いた瞬間、お風呂上がりなのか首にタオルを巻いた渚が奥から出てきた。


渚は私の顔を見ると目を輝かせて、勢いよく抱きついてくる。


一週間の疲れが吹き飛んだ気がした。



家族の力って凄いな、と渚を抱きしめながら思った。


あなた 「ただいま!!元気にしてた?」

渚 「超元気ッ!!!」

あなた 「ふふっ、なら良かった!!」



そんなやり取りをした後、私は先程考えていたことを
渚に聞いた。




あなた 「ねぇ、皆が共同ルームに居ない理由って…,」



渚 「みんな自分の部屋で勉強してるよ!」
























「 来週期末テストだからかな???」














一気に現実に引き戻されました。


職場体験に必死すぎて、すっかり忘れてた。






あ、でも ────────────







渚 「まあお姉ちゃんなら今からでも大丈夫だよ!別に頭悪いわけじゃないでしょ?」


あなた 「………。」














─────── 私には関係ない。





期末テストの点数がどうであれ、林間に行くことは
決まっている。




皆の敵として、だけど。







あなた 「……勉強するか!!!」







渚 「お、おお!頑張ってね!!」







勉強は将来の役には立つだろうから、しておこう。








私は自室に戻って、嫌な事を考えないようにひたすら教科書と向き合ったのだった。

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