「私が連合に入るからかっちゃんには手出さないで。」
後先考えずに言ってしまった。
林間合宿が始まるまでには、私は敵連合に行かなければならない。
林間合宿まであと2週間。
それまでに覚悟を決めて、
ヒーローになる夢を諦めて、
皆と、かっちゃんと、渚と別れて
皆の敵にならないといけない。
あなた 「皆と離れるなんて、嫌だなぁッッ。」
私の独言は大きい空に吸われていった。
決まったからには仕方がない。
覚悟を決めないと。
これは、かっちゃんを守る為なんだ。
私は貴方のヒーローになるんだ。
貴方を守るための " 最初で最後のヒーロー活動 " を
しないと。
目に溜まっていた涙を拭いて、深呼吸をする。
残りの2週間、思いっきり楽しもう。
悔いない雄英高校生活を送ろう。
あなた 「よしっ!!!!!」
私は、寮へと足を運んだ。
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麗日 「あなたちゃん!!どこ行っとったん!?」
上鳴 「帰って来たら居なくなってて焦ったぜ!??」
寮に帰ると、何故か皆が帰ってきていた。
あれ?まだ14時過ぎだよ???
あなた 「私はちょっと気分転換に外に!皆早くない?どうしたの??」
葉隠 「なんか今日は早く帰れる日だった!やったぁ!」
あなた 「あ、そうなんだ!良かったね!」
葉隠 「うんうん!!」
共同スペースでは、お茶子ちゃんや切島くん達がソファでゆったりくつろいでいた。
その中には勿論、かっちゃんもいた。
私は、色々準備を済ませてからお茶子ちゃんの隣に座る。
上鳴 「あ!!あなたちゃんこれ見てくんね!?見せるの忘れてた!」
あなた 「なになに??」
上鳴くんが私の所に来て、携帯の画面を見せる。
あなた 「ははっ!!!な、何これ!!!」
上鳴 「やべぇだろ!?これ!!!」
そこには、髪を8:2分けにされているかっちゃんが映っていた。
あなた 「これ、本当にかっちゃん!?え、え!?面白すぎるっ。」
" かっちゃん " という言葉に私の前に座っていた人物が反応する。
まあ一人しかいないよね。
爆豪 「アホ面、お前何見せたんだァ!?ア゙?」
上鳴 「何も見せてねぇよ~??」
爆豪 「見せてただろが!見せろや!!!!」
上鳴 「何も見せてないよな?あなたちゃん!」
あなた 「ふふっ、うんッ!私は、何もふふふっ!!」
爆豪 「お前まで乗んじゃねェよ!!見せろやオラァァ!!」
そう言って、かっちゃんが上鳴くんを爆発させようとする。((
私は、その光景を見てまた笑ってしまう。
麗日 「平和やねぇ。」
ああ、なんて楽しいんだろう。
こうして皆と居れるのもあと2週間しかないんだと考えたら、とても寂しくなる。
だめ、そんな事考えたらまた泣いちゃう。
先の事は考えずに、今のこの瞬間を楽しもう。
私は再び上鳴くんに写真を見せてもらい、
不安な気持ちを吹き飛ばそうと笑うのだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!