エレベーターの扉がゆっくりと閉まる。
その中には、私とかっちゃんだけ。
爆豪 「無理すんなや、阿呆が。」
かっちゃんが座り込んでいる私に目線を合わせ、私の額に触れる。
あなた 「 …つめた…い………。」
ひんやりして、気持ち良い。
自分の体温が余りにも熱いのだと自覚する。
爆豪 「………熱すぎンだろ。」
かっちゃんは分かりやすく溜息をつくと、
私の太腿の下側と、腰に手を添えて持ち上げた。
人生二度目のお姫様抱っこです。
いつもの自分なら顔真っ赤で脳内パニックで叫びまくると思うんだけど、今はそんなの無理。
私は抵抗する気力も無いから、大人しく持ち上げられた。
タイミング良く、エレベーターの扉が開き、そのままかっちゃんは私の部屋に入る。
そして、私をベッドに寝かせて、優しく布団をかけてくれた。
あなた 「 …ありがと。」
爆豪 「しんどい思うんなら、下来ンなや。」
かっちゃんは、どこからか冷えピタを取り出して私の額に付ける。
あなた 「 だって、皆と話したかったから…。」
爆豪 「こんなに熱出てるのにか?」
あなた 「 ……ぅ、ごめんなさい。」
かっちゃんは再び溜息をつき、ゆっくりと私に近付いてきてしゃがみこむ。
汗ばんだ私の髪の毛を、優しく梳かすように撫でる。
爆豪 「今は安静にしとけ。」
そう言うとかっちゃんは押し入れから渚の布団を出して、床に敷く。
そのまま、布団に寝転がる。
あなた 「 かっちゃん…何で……?」
何で、わざわざ渚の布団を出したの…?
別に出さなくても寝る事だって可能だし、
そもそも私を運んだ事だし下に戻っても良いんじゃ……?
爆豪 「渚、クソ髪の所で寝るから。俺がここで寝る。」
あなた 「………はいッッッ…!??」
え、え、え!???
かっちゃんがここで寝る?!
頭が爆発しそうなんだけど。((
いや、今思いっきり大きい声出してしまったから、頭が割れそうに痛い。
私は頭を抑える。
あなた 「ッ、痛たた………。」
爆豪 「…何やっとんだ、馬鹿。」
かっちゃんは起き上がると、どこからか頭痛薬を取り出す。
爆豪 「飲めや。」
私は一つ疑問を抱きながらも、言われた通りに頭痛薬を飲んだ。
………なぜ冷えピタ、頭痛薬持ってるんですか??
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!