第85話

お嬢さん
6,700
2020/04/14 06:12
“ お前の本当の姿知りたいか? ”






本当の姿………………?



待って、全く意味がわからない。







死柄木 「あぁそういえば何で俺がお前の事知ってるかも言ってなかったな。」




死柄木は私の事など気に構わずにどんどん話を進めていく。











死柄木 「お前、一回俺と会った事あるんだよ?」




この人何言ってるの?



私が……この人と…………?





死柄木 「あなたは覚えてないだろうけどな。お前の婆さんとも会った。あなたとは少しは話したんだぞ。」




おばあちゃんとも会ったの………?



頭が回らない。







あなた 「…………どうして?」




今、私が言えたのはこれだけだった。


とにかく、理由が知りたい。








なぜ私と死柄木は会ったのか。


そして、何を話したのか。







死柄木 「知りたいならここに来い。真実を教えてあげるよ。全部。覚悟決まったらおいで。」





そう言って、死柄木はポケットから小さな紙を取り出して私に差し出す。




死柄木 「ここ、敵のアジト。警察に知らせたら……どうなるか分かってるよな?誰にも言うな。」



あなた 「……分かった。」


私は死柄木から紙を受け取る。




他に何かできたはず。


でもこの時の私は、考えられなかった。


只々、従うしかなかったのだ。








死柄木 「気付かれたら大変だし、もう帰るわ。じゃあな、あなた。」



そう言うと死柄木は、何事もなかったのように去っていった。



私は暫くの間その場に立ち尽くしていた。













?? 「そこのお嬢さん?どうかされましたか?」


隣で誰かに声をかけられた。

お嬢さん? え、誰。



振り向くと、そこには…………









あなた 「…上鳴くん?」



上鳴くんがニコッと笑って私の方を見ていた。



あなた 「どうしたの?みんなは?」


上鳴 「いや、あなたちゃんこそ誰といたの?」




え?見られてた…………?

とにかくバレないようにしなきゃ……




あなた 「い、いや、昔の学校の友達!」

上鳴 「……そっか!ナンパされてんのかなとか思って飛んできたけど大丈夫そうだな!」


上鳴くんは、上を見て親指を立ててウインクしてる。


上鳴くんは、やばい人なのだろうか…。

それとも誰かに合図を…………。




上を見ると、








切島くんと瀬呂くんとかっちゃんが此方を見ていた。




切島くんは 『おーい!』と大声で叫びながら手を振ってる。

周りの人がすっごい見てる。恥ずかしくないのかな……。





上鳴 「爆豪が、心配してたぞ〜。爆豪が行ったら良いのに、何故か俺がここに来た笑笑」



かっちゃんが………?



上鳴 「…なんか今喋りづらいんだろ?あなたちゃんは気にすんなって!絶対、あいつが悪いからっ!」


あなた 「いや、私が悪いの。私がね、しつこく聞いちゃったから………。」


上鳴くんは一瞬黙るも、また口を開く。


上鳴 「…そんな自分を責めるなって!大丈夫だから!」



どこから、そんな言葉が出るかは分からないけど……上鳴くんの優しさだよね!



あなた 「ありがとう上鳴くん……!」


上鳴 「いえいえ〜!」



ふふっと微笑む。


切島くんも上鳴くんも……皆、本当に優しいな……。









あ、そういえば…………









あなた 「上鳴くん。」


上鳴 「ん?どした?」






あなた 「お嬢さんってなに?」


上鳴 「え、今さら?」





そんな話をしながら、私は上鳴くんと一緒に皆の元に戻ったのであった。

プリ小説オーディオドラマ