第95話

4つの影
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2020/06/28 10:38
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?? 「あなた………あなた…!」


?? 「あなた、顔上げて……?」


?? 「あなたの可愛い顔が見えないじゃない…。」


?? 「わしの大好きなあなた…。」








誰かの声が聞こえる…。


とても聞き覚えのある声。







私はゆっくり目を開ける。





すると私の前に4つの影があった。



周りは何にもない。


このままどこまでも続いてそうな場所。







ここ、どこ?







?? 「あなた!良かった…顔見れて…。」



一番左の影が動く。



けど、顔は全く見えない。




あなた 「えっと……。」




誰ですか?って聞きたいけど、なんか聞きづらい。



名前知ってるって事は、私も知ってる人物だと思う。






?? 「…!?分からないのか?」


?? 「ちょっとあなた、落ち着いて。そりゃそうよ。だってあなたから私達は見えないんだもの。」


?? 「そうなのか?いや、それは悪かったなぁ…。」



?? 「久しぶりにあなたちゃんの顔を見れて嬉しいわ。」





あぁ……分かっちゃった…。



私の前にいる人たちが一体だれなのか。





?? 「あなた…わしらの事分かったか…?」





ほら、もうその声…その優しい話し方…。















おじいちゃんだ。



だったら、その周りにいるのは、






お母さん 、 お父さん 、 おばあちゃん。






私の大好きな

















────── 家族









あなた 「お母さん…お父さん…おじいちゃん…おばあちゃん…!」



私は立ち上がって4人の元に走る。




しかし、途中で柔らかい何かにぶつかる。





祖父 「そこから先は進めんのじゃよ。あなた。」


祖母 「そこの壁が地上と空の境界線になるの。」



あなた 「境界線……?」




え、凄いマンガみたい。





母 「皆、あなたの味方だからね。」


父 「あなたの気持ち・ ・ ・ ・ ・ ・ちゃんと分かっとるからな。」






あなた 「私の気持ち……?」



お父さんが何故かそこを強調して言った気が…。




父 「ほら!言ってたじゃないか。あの男の子に。」



あの男の子…………






“ かっちゃんに私の気持ち分かるわけない "






あなた 「かっちゃん……?って、聞いてたの?!」




母 「私達はずっとあなたの近くに居るわよ。」


祖母 「例えあなたちゃんから見えていなくても。」


祖父 「ずっと一緒じゃよ。」




あなた 「── ッ!」





ずっと一緒……………



お母さん達とずっと……………





父 「それにしても、あなた、良い彼氏を持ったなぁ。」


祖母 「ほんと!まさか勝己くんと!信じられないわ!」


母 「勝己くんは昔から仲良くしてくれてたものね。」


祖父 「良い奴じゃよ。前も、わしの病室に来てくれたんじゃ。」


父 「おおぉ!お父さんもその勝己くんと話したかったなぁ…。」





何か、凄い盛り上がってる…。

話に入りづらい。




いや、というか今まあまあ気まずいんだけど。



あなた 「あ、あの……。」



父 「どうした?」



あなた 「実は今、かっちゃんと気まずくて…。」




4人 「え……?!「なっ!!」 」



父 「何だと?!なぜ?!」


祖母 「それは大変だわ!」


祖父 「二人とも少し落ち着くのじゃ…!」



お父さんとおばあちゃんの影が凄い動いてる。


はしゃぎすぎだと………笑笑





母 「今は気まずくてもいずれ仲直りできるわ。あなたなら大丈夫よ。お母さん、応援してるからね…!」


あなた 「お母さん………うん!」



ふふっとお母さんが笑う。


ちゃんとお母さん達の顔、見たいなぁ……。




祖父 「あ、あなた。ちょっとわしから1つ言いたいことが。」



あなた 「おじいちゃん、どうしたの…?」



おじいちゃんが一歩前に出る。



祖父 「急に居なくなって本当にすまんな…。渚もあなたも辛い思いしとると思う。
気持ちが落ち着くまでゆっくり休んでほしいんじゃ。辛い思いのままだと何事も楽しくなくなる。」


母 「おじいちゃんの言うとおりよあなた。本当に無理しないでね。あなたはすぐ無理しちゃうんだから。」


父 「あのマンションの火事の事も、海での練習の時もだ。お父さん達、どれだけ心配したか…!」


あなた 「…分かった…!落ち着くまで休む事にします。」



祖母 「ええ。それが良いと思うわ!」



おばあちゃん、さっきのかっちゃんの話から動きが激しいしルンルンオーラがこっちまで伝わってくる…。



おじいちゃん達の言う通り、学校は少しの間休むことにしよう。



あなた 「お母さん、お父さん。おじいちゃん、おばあちゃん、ありがとう…!」


母 「またあなたの夢の中、遊びに来るわね。」

父 「その時は勝己くんの話聞かせておくれよ。」


祖母 「おばあちゃんにも!よろしくね。」



祖父 「渚にもよろしく頼むな、あなた。」



あなた 「うん!じゃあね!」





4つの影は私に向かって手を振った。











人生で一番楽しい夢だった。

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