ガッ ダンッ……ガタッ
さとみくんがいじめられ始めてから、3週間くらいが経った。
多分、さとみくんはもう心も体もボロボロだろう。
僕だって同じ事をされてきたのだから、さとみくんの気持ちは十分理解出来た。
だから……だから、つい、本音が出てしまった
こんなはずじゃなかった。僕から助けても、さとみくんは僕のものになんかなってくれない。
もう、この際だから、最後まで言い切るべきか……?
でも、僕の力じゃ奴には勝てない……
逃げても…さとみくんに嫌われる……
嫌われる……?
もう散々見て見ぬふりをしてきた僕は、既に嫌われているんじゃ……?
それなら、逃げる意味もない……?
助けた方が、いい……?
あれ、僕の目的って、なんだっけ…………
グイッ
奴は僕の胸ぐらを掴んで引き寄せた
さとみくんはしゃがみ込んで、泣きそうな声で僕を呼んだ
もう、そんなことしないでよ……
僕がやったのに、これも、全部……
なんで僕を心配するの……
僕の事を、好きじゃないのに……
違う、僕が勝手におかしくなった
誰だって、いじめたい気持ちはある
さとみくんを不幸にさせたのだって僕だ
さとみくんを、幸せに出来なくしたのも、僕だ……
奴が僕を殴ろうとした時、さとみくんが大きな声を出した。
ガタッ グラッ……
さとみくんは、突然窓から飛び降りた
…………ゴチャンッ
………………死んだ?
さとみくん、死んじゃった……?
あれ、僕って、何がしたかったんだっけ……
さとみくんと、恋人に、なるために……
いじめさせて、で……?
それで、僕のものにして……
あれ、恋人って、幸せになるものじゃないんだっけ……?
さとみくんは、幸せ…………?
僕は、走って学校から飛び出した
━━━━━━━━━━━━━━━
次回で最後です!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。