side あなた
佐「俺はあなたちゃんが好きだよ」
佐久間さんは、ニコッと笑ってそう言うけれど、私は答えることが出来なかった。
佐「すぐに、返事はしなくていいよ」
どうして、わたしなんだろう…。
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家に帰って、ソファに沈んだ。
兄「どうかした?」
『にぃに…』
佐久間さんは兄の友だちだ…。
そして、キラキラした表舞台に立っている人。
兄「仕事で何かあった?」
『ううん、そうじゃない』
兄「友だちと喧嘩した?」
『そんなこともない、』
兄「じゃあ、恋か」
兄は困ったような顔で笑う。
兄「うちの可愛いあなたを悩ませるのはどこのどいつだ!」
あなたの友だちだよ。
『にぃに、わたしわかんないよ、』
兄「何が?」
『わかんない事がわかんない』
兄「なんだそりゃ」
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兄「あ、そうだ。今週末佐久間泊まりに来るから」
『え?』
兄「夕飯作っといてくれる?」
『外で食べてくればいいのに…』
兄「グッズで散財する予定だから!」エヘン
…いや、胸張って言わないでよ。
今日あんなこと言われて、ちゃんと向き合えないかもしれないし、あー週末が不安だよ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!