sideあなた
最近ユミちゃんのお店に行くと、佐久間さんが居るか、あとから来るかってことが増えて、
落ち着けない。
でも遅い時間に家帰ってご飯作って…ってよりも、格安な上に栄養バランスの取れたご飯が食べられるなら…と思うと、ユミちゃんに頼るしかない。
しかし、しかしだよ、
「あなたちゃん、これ好きー?」
「これ可愛くない?!」
「あなたちゃん、かわいいー!」
「やっぱ好きだわー!」
佐久間さんのテンションの高さ…。
「好き」とたくさん言われても、どう答えて良いものか分からずに、いつも戸惑ってしまう。「はいはい」と受け流して良いものなのか、でもそれは申し訳ない気もする。
ニコニコしている佐久間さんの表情を見ていると、何も言えなくなってしまう。
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わたしもいい大人なんだから、この人がどんな立場で、どんな制限があるのかだって、ちゃんと理解しているつもり。
佐「あなたちゃん悩み事ー?」
『なんでもないですよ、』
わたしは貴方の隣に並ぶべき人じゃない。
佐「そっけなーい」
『大丈夫ですから、』
でも…心は…?
佐「俺あなたちゃんのこと、ちゃんと知りたいのに!」
そう言われて、ドキドキするし、
本当はもっともっと隣にいたいと思うし、
もっと素直になりたい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!