鶴房汐恩 side
俺は今のボディーガード、雛形が大嫌いだ。
別にサセンかそうじゃないかなんてどうでもいい。
ただ、余裕ぶっこいでる感じがムカつく。
今日も、ラジオにまで着いてきやがって。
顔は見たくないから見たことないけど、
声も嫌いなんだよ。
少し低い、無感情そうな声。
ラジオが終わって、景瑚くんが雛形を無視して外に出る
俺らは渋々あとを着いていくのだが、
雛形の声とともに、景瑚くんが吹っ飛んできた
何があったのか全然理解が追いつかなかった。
ホントだよ、
なんで俺こんなに心配してるんだよ。
むしろここで怪我して、ミスして、
ボディーガード辞めさせられればいいのに
そんなこと思ってたら、
男がナイフを持って雛形に接近しているのに気づいた。
俺は助けに行こうとしたのに……
雛形は、男のみぞおちを蹴って始末した。
…早、
……嘘だろ
…なんなんだよこいつは。
本当なんなんだよこいつは!!!!(2回目)
そう言って足を前に出してくるコイツ。
……細。
筋肉だけ着いてる感じ。
足長いな
……てか俺こんな足見るとか変態だろ
急に名前を呼ばれてびっくりする
俺、もしかして強がってるのか?
焦ってコイツの目を見る
……コイツの顔、初めて見た。
…可愛い、かも
バカにしたように俺に笑いかける
……何俺熱くなってんだよ
……俺どうかしてる
家に帰って宿舎に帰っても、
その話題でもちきりだった。
違う、俺がそんなわけない。
気のせいだ。
何かの間違い。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!