うらたside
俺は学園祭実行委員長を引き受け、学園祭の準備で誰よりも長く学校に残っていないと仕事が終わらない。
そして俺の巻き添えをくらった副委員長の坂田と準備をしている途中だ。
今は1枚1枚に手書きで言葉を書いてく作業中だ。
うんざりするほど書いてんだ。思い出させんなよ…
教室の前にたっている黄百合先生。
黄百合先生は学園祭実行委員担当の先生だ。
黄百合先生も加わり、作業のペースもあがった。
黄百合先生を見てると、嬉しそうに笑っていた志麻を思い出す。
涙がこぼれそうになる…2人にバレないように袖で顔を隠す。
初めてだ。初めてだったんだ。自分と親しい人が死ぬなんて。
勿論、志麻の死を聞いた時は自分でも引くほど泣きじゃくった。
どうしていなくなってしまったの?どうして俺たちのことを置いてったの?
葬式の時だって、真っ白な顔をした彼を見て、再び泣きじゃくったんだ。
悩んでたのなら、何故相談してくれなかったの?
ねぇ、黙ってないで答えてよ…
答えることは出来ないとわかっているのに、そう聞かずに居られなかったんだ。
黄百合先生が俺の肩に手を置いた。
先生が天井を見上げてそう声を発した。
そんな会話をしながらも、何とか仕事を終えて校門前につく。
先生に背を向けて1歩を踏み出そうとする。
声をかけられて振り返ると、先生が何かを書き、俺に渡してきた。
やっぱり先生は何か知ってんだ。
志麻の、自殺の原因を。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!