第5話

やっぱり
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2021/07/25 01:49
うらたside
浦田 渉
浦田 渉
あ〜疲れたぁ…
坂田 優
坂田 優
それな…てか、なんでうらさんこんなのひきうけちゃったの。
浦田 渉
浦田 渉
だって…みんなより長く学校残れるし…
俺は学園祭実行委員長を引き受け、学園祭の準備で誰よりも長く学校に残っていないと仕事が終わらない。

そして俺の巻き添えをくらった副委員長の坂田と準備をしている途中だ。
坂田 優
坂田 優
死ぬ…これ後何枚あんの?
今は1枚1枚に手書きで言葉を書いてく作業中だ。
浦田 渉
浦田 渉
聞かないでくれ…
うんざりするほど書いてんだ。思い出させんなよ…
黄百合 センラ
黄百合 センラ
頑張ってんな。
教室の前にたっている黄百合先生。
黄百合先生は学園祭実行委員担当の先生だ。
浦田 渉
浦田 渉
先生。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
どれ、俺も手伝ったるか。
坂田 優
坂田 優
え!?先生神!
黄百合先生も加わり、作業のペースもあがった。
浦田 渉
浦田 渉
月崎 志麻
月崎 志麻
『うらたさん。俺、学園祭実行委員長やりたいねん。』
浦田 渉
浦田 渉
『へぇ、またなんで?』
月崎 志麻
月崎 志麻
『黄百合先生が担当なんだって!』
浦田 渉
浦田 渉
『ほんと黄百合先生好きだよねぇ』
月崎 志麻
月崎 志麻
『うん。俺先生大好きだよ!あ、恋愛的な意味じゃないかんね!?信頼してるってこと!』
浦田 渉
浦田 渉
『わかってるよ!』
黄百合先生を見てると、嬉しそうに笑っていた志麻を思い出す。
浦田 渉
浦田 渉
(あ…やばい…)
涙がこぼれそうになる…2人にバレないように袖で顔を隠す。
初めてだ。初めてだったんだ。自分と親しい人が死ぬなんて。
勿論、志麻の死を聞いた時は自分でも引くほど泣きじゃくった。
どうしていなくなってしまったの?どうして俺たちのことを置いてったの?

葬式の時だって、真っ白な顔をした彼を見て、再び泣きじゃくったんだ。
悩んでたのなら、何故相談してくれなかったの?
ねぇ、黙ってないで答えてよ…
答えることは出来ないとわかっているのに、そう聞かずに居られなかったんだ。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
…うらた、どないした?
黄百合先生が俺の肩に手を置いた。
浦田 渉
浦田 渉
なんでもッ…ないです…
黄百合 センラ
黄百合 センラ
嘘。泣いとるやん。
浦田 渉
浦田 渉
ッ…
黄百合 センラ
黄百合 センラ
…月崎志麻、か。
先生が天井を見上げてそう声を発した。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
俺が今まで見てきた中で、1番綺麗な子だったなぁ。
誰よりも綺麗に笑って、誰よりも綺麗な顔をしていた。
浦田 渉
浦田 渉
はい…
坂田 優
坂田 優
あの笑顔…もう見れないんですよ。
そんな会話をしながらも、何とか仕事を終えて校門前につく。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
じゃあね。気をつけてね。
浦田 渉
浦田 渉
…先生。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
何?
浦田 渉
浦田 渉
何か知ってるなら…教えてください。
でないと、志麻が、可哀想です。
先生に背を向けて1歩を踏み出そうとする。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
うらた。
声をかけられて振り返ると、先生が何かを書き、俺に渡してきた。
浦田 渉
浦田 渉
なんですか?
黄百合 センラ
黄百合 センラ
連絡先。俺に…聞きたいことあるんでしょ?
浦田 渉
浦田 渉
…はい。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
坂田も。
坂田 優
坂田 優
…あざっす。
やっぱり先生は何か知ってんだ。
志麻の、自殺の原因を。

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