私はあれから、印刷室とは反対側にある会議室へと入る。
誰もいない事がわかると、すぐに泣き崩れた。
なんで私だけがこんなに辛いんだろう。
そう思うと、みんなが みんな、ほんとに嫌になった。
こんな時、きっと じょんぐく がいたのなら一緒になって泣いてくれるのだろう、なんて考えてしまうのは
私の心にちょっとずつ あいつがまた 顔を出したからなのか
それとも、この寂しくてなんとも言えない気持ちの埋め合わせなのか
考えても 考えても
『分からないや……』
泣きすぎて頭が痛くなり
机に座り、突っ伏した。
『はぁ……』
これから まだまだ仕事があるのに
こんな顔じゃ、誰とも会えない
また、隣のデスクが てひょん だから
尚更なんだ。
どうしようかと悩んでいると
ガチャっと扉が開く。
🐭「ここ、作業でよく使うんだけど……」
そう言って入ってきたのは ゆんぎさん だった。
涙でまだ視界が歪んでいる。
けれど、その声の主が ゆんぎさん だと分かるのに
それほどの時間は掛からなかった。
少しだけ鼻にかかった低い声で私の方へと近づく。
🐭「なぁ、聞いてる?」
『………』
『ほっといてください。』
🐭「………」
🐭「しょうがねぇな……」
そういうと私の隣に椅子を持ってくる。
『な、何してるんですか……』
🐭「は?俺がお前の隣で作業してやるって言ってんの」
🐭「ちょっとは感謝しろよ?笑」
そう言って頭を優しく撫でられた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。