第89話

86話
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2019/05/14 10:53



私はあれから、印刷室とは反対側にある会議室へと入る。


誰もいない事がわかると、すぐに泣き崩れた。


なんで私だけがこんなに辛いんだろう。


そう思うと、みんなが みんな、ほんとに嫌になった。


こんな時、きっと じょんぐく がいたのなら一緒になって泣いてくれるのだろう、なんて考えてしまうのは


私の心にちょっとずつ あいつがまた 顔を出したからなのか


それとも、この寂しくてなんとも言えない気持ちの埋め合わせなのか


考えても 考えても


『分からないや……』


泣きすぎて頭が痛くなり


机に座り、突っ伏した。


『はぁ……』


これから まだまだ仕事があるのに


こんな顔じゃ、誰とも会えない


また、隣のデスクが てひょん だから


尚更なんだ。


どうしようかと悩んでいると


ガチャっと扉が開く。























🐭「ここ、作業でよく使うんだけど……」



そう言って入ってきたのは ゆんぎさん だった。






涙でまだ視界が歪んでいる。


けれど、その声の主が ゆんぎさん だと分かるのに


それほどの時間は掛からなかった。


少しだけ鼻にかかった低い声で私の方へと近づく。


🐭「なぁ、聞いてる?」


『………』


『ほっといてください。』


🐭「………」


🐭「しょうがねぇな……」



そういうと私の隣に椅子を持ってくる。



『な、何してるんですか……』



🐭「は?俺がお前の隣で作業してやるって言ってんの」


























🐭「ちょっとは感謝しろよ?笑」



そう言って頭を優しく撫でられた。






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