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第6話

6話
「かけるにいちゃん…。ボク、嘘…ついた。実はボクは…記憶、喪失じゃないんだ…」

「…は?何言ってんだ?お前は名前も何もわからな…」

「ごめんなさい!記憶喪失は、かけるにいちゃんに近づく口実だったんだ…。」

「口実?何の為に?」

「かけるにいちゃん!ボクのこと、ホントにわからない?」

「それは…前にも言っただろ。お前の事は何も知らないって。」

「翔…本当に?翔はこの子を知ってるよ!」

「だから…知らないって!!…」

「ボクは…ボクの名前は、立花 将(たちばな しょう)。旧姓…加我 将(かが しょう)…。」

「加我…将…?」

「ボクは、翔兄ちゃんの弟だよ…。」

「…え…?何、言ってんだよ…。俺には、弟なんか…いない…。」

「翔!ちゃんと思い出してみて!貴方には…」

(何…言ってるんだ、この二人…。
俺に弟なんかいない!…いない、はず…。)

「…はっ!!」

突然!俺の頭の中に様々な記憶が駆け巡る。
高校…中学…だんだんと遡る記憶の中に見覚えがある顔があった。

(これは俺の記憶?)

記憶の中には幽霊として現れた将の顔があった。

(あいつは、本当に俺の弟なのか?じゃ、なんでその記憶が俺には無かったんだ?)

「翔、事故にあった事覚えてる?」

「事故…?」

「翔兄ちゃんは、バイクと衝突事故を起こしたんだ。その時に頭を強く打って一時的に記憶を失った。でもそれは、極めて短い時間で戻った。ある一つの記憶を除いて…。」

「それが…お前との記憶…。」

「うん…。」

「じゃ、記憶喪失だったのは俺の方って事か…。」

「そう言うことに…なるね…。」

「てかさー、お前らはいつから共犯だったんだ?まさか…」

「最初から…ですよ」

「はぁ…まんまと騙された…。」

「これでボクは成仏できるよ。」

「おぉ、それは良かったよか…え?」

「最初からそのつもりだったから…。ね、香ちゃん。」

「うん…。翔の記憶が戻ったら成仏するってそうゆう約束で協力したから。」

「だよな…。いつまでも、この世にはいられないよな…。」

「ねえ、翔兄ちゃん!最後に一つだけ、お願いしてもいい?」

「あぁ、俺に出来ることならなんでも。」

「翔兄ちゃんにしか出来ないこと……ボクの為に、死んで」

「…え?今…なんて言った…?」

「だからー、ボクと一緒にあの世に行こう?」

「どうしたの、翔。」

「こいつが…将が…一緒に来てって言ってる…。」

「一緒に…って!将!それはダメと言ったはずだよ!死んだ者が生きている者を連れて行く事は禁止のはず!」

「そうだね、香ちゃんの言う通り…だけどそれは、無理に連れて行こうとした時だけ。翔兄ちゃんならボクの為に死ねるでしょ?だってボク達は実の兄弟なんだから。」

「将…」

「何?翔兄ちゃん」

「悪いがその願いは叶えられない…」

「え…なんで…?」

「俺は…生きる理由を貰ったからだ!俺は!お前の為に…お前の分まで!生きようとそう思った。だから、お前からのその願いは叶えられない!」

「…そっか……。翔兄ちゃんなら、そう言うと思ってたよ。」

「えっ…?」

「ちょっと、試してみたんだ。」

「試してみた?…死ぬか死なねーかってことをか?」

「うん。」

「もし、死ぬって言ってたらお前…どうした?」

「もちろん!連れていくつもりだったよ。」

「……マジで?」

「うん。でも、翔兄ちゃんなら断るって思ってたから。やっぱり、翔兄ちゃんを信じて良かった。」

「悪いな…」

そう言い俺は、将の頭を撫でようとした。
だけどその手は、将の頭を撫でることは出来なかった…。

「そうだよな…幽霊に触れるわけねーよな…。」

「…でも、その気持ちだけでボクは嬉しいよ。ありがとう」

「将…。」

「あのー、私がいること忘れてないよね?」

「…あ、忘れてた。悪い。」

「もう!久しぶりに話せたからって私の事忘れないでよ!あ、あと…将…」

「うん、分かってる。翔兄ちゃん!ボク、この世に未練はなくなった。だから、自分が居るべき場所に戻るよ。」

「もう…行くのか…」

「うん。実を言うと今日で四十九日。今日中に戻らないとボクは地縛霊になっちゃう。翔兄ちゃんを縛る事になっちゃう。だから…」

「…だから、戻るんだろ?…ありがとうな。こんな俺の為に…記憶を戻すために…俺の元に来てくれて。」

「…もう、ボクの事忘れないでね?」

「あぁ、もちろん!」

「私も!」

「ありがとう…翔兄ちゃん…香…お姉ちゃん…バイバイ…」

「…行っちゃったね…将。」

「あぁ…」

俺は涙ぐむ目を香にバレないように拭った…

(お前の事は一生忘れない!あんな出来のいい弟が俺にいた事を忘れたりはしない!絶対に…)

「てか、ずっと気になってたんだけど。香と将の関係ってなんなんだ?」

「さぁ、なんでしょ?」

「お、おい!気になるだろ!教えろ!!」

「察してくださいよ…私の呼び方で…」

「ん?何か言ったか?」

「いいえ!」

香と将がどんな関係なのかあやふやなまま、俺の不可思議な一日は終わった…。