……………憂鬱…
毎年、体育大会は憂鬱だけど
今年は特に……
今まで
体育大会当日に仮病して休む
っていうのが恒例だった
仮病。って知ってたんだろうけど
何も言ってこなかったお母さんにすごい感謝してる
気のせいか、
いつもより倍元気な声のお母さんに見送られて
少し笑いながら家を出る
向かっていると
ひどーい
なんて笑いながら
少し涼しい通学路を歩く
喋ってたらすぐ学校に着いて
…………憂鬱の原因はあんたなのに
って言葉は飲み込んで
また始まった、笑
今まではこの時涼太くんと笑い合うけど
今はそんなこと軽くしたらだめだ。
って分かってる
……ていうか…
いつ気持ち伝えよう…
私が困ってるのに気付いたのか
トイレに行って
手洗う所の鏡の前に立つ
急ぎながら
教室に向かって
先生に注意されながら席に座って
今日の流れを聞いてるふりして
頭の中では告白のことでいっぱいで
ほんとうに、
気づけばテントの中に居た。
クラスの皆に笑われながら
グラウンド見たら
3年生以外の男子が全員入場門の奥の方に集まってて
隼くんも……涼太くんもいる
あ、、亜嵐先輩もだ
私の視線に気付いたのか
そんなことを言ってくる
そう言われた通り、
…というか
この学校が緩すぎるのか
本当にすぐ終わって
もう借り物競争
男子が全員入場してきて
……まさかの
涼太くんと亜嵐先輩が同じ2組目で
亜嵐先輩が3レーンで
涼太くんが2レーン…
1組目がスタートして、
男子が、色々な女子を連れて行く
そんな光景が新鮮で。
すごいな、って思って
皆が並んでる方見たら亜嵐先輩と目が合って
ニコッってしてくれた
次はもう
亜嵐先輩達のレースで
涼太くんと亜嵐先輩が位置につく
パーンってピストルの音がグラウンドに鳴り響いたら
皆一斉に走り出して
涼太くんと亜嵐先輩が並行で1位になってる
机の上に置いてある紙を二人が取って
開けて確認した瞬間
こっちに向かって走ってきて
ニヤニヤしながら言うから
心臓バクバクで見てたら
え、、え、、え、、、、?
焦ってる暇もなく
二人から手を引かれて
テントから出る
手を見たら確かに涼太くんの手が繋がれてて
やばい……絶対顔赤い…
亜嵐先輩がそう言って
今まで早かったのがもっと早くなって
足をなんとか動かして
ゴールした結果1位
二人がそんな会話してる中
私は息が上がって肩で息をする
よし、頑張れ私。
そのままの流れで
亜嵐先輩の手が離れて
涼太くんに手を引かれながら
裏庭に来た
涼太くんが向こう向いたまま止まって
なんて言うから。
今伝えなきゃ!!
って心の中の自分が叫んで
いつもとは違う私に驚いたのか
こっちに体を向ける涼太くん
”好き”
ってその二文字を言う時が来た
涼太くんを見ると
頭の上にはたくさんハテナが付いてて
私がそう言っても涼太くんは静かで。
そりゃそうだよね…
よし、潔く振られよう
少し泣きそうになって
その場から立ち去ろうとしたら
そう言われて
左手が掴まれる
”俺も”って、なに?
……どういうこと…?
少し言葉が詰まりながら言う涼太くん
私の目をしっかり見て言う涼太くんが
すごくかっこよくて
涙で涼太くんの顔が滲んで
そう返事したらすぐ目の前が暗くなる
ほんとにカップルか
って会話して
二人で笑って
涼太くんが私から離れる
急な呼び捨てにびっくりして
顔が真っ赤になっちゃって
ほんとすぐ照れるー
って横で言ってる涼太くんを見て
第一印象はほんっとに最悪で、
強引でうるさくて嫌いだったけど
いつの間にかこんな関係になって
私、この人に出会えてよかったな。
って思えた
〈涼太side〉
手を繋いでグラウンドに戻る道を歩く
隣を歩くあなたを見て
第一印象は
謎が深い子で、もっと知りたい。
って興味が湧いたな…笑
もしかしたらもうその時から
惹かれてたのかもしれない
色んな表情を見せるあなたに
俺はもうどんどんはまっちゃって、
勘違いが多い二人だけど、
俺をこんなにも好きにさせて
こんなにもはまらせたのは
間違いなく、
保健室の君_____。
END
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。