遂に今日は花火大会…
浴衣は青で白い百合の花が書かれてる
黄色の帯を締めて
髪型もお母さんにしてもらって
初めて………しょっかく。ってやつ作った、笑
化粧も少しして
下駄を履いて急ぎめで駅に向かう
駅の近くになったら
ホームを出て少しくらいの所に居る亜嵐先輩
やっぱりいつもと変わらない
キラキラした笑顔の亜嵐先輩
亜嵐先輩も男の人の浴衣着てて
あんまり言われ慣れてないから
恥ずかしくて俯いたら
そう言って歩きだしたら
そう言われて振り向くと
亜嵐先輩は私が行った方向と真逆の方向を指差して笑ってる
そんなに照れるなんて思ってなくて、、
ってまだ笑ってる亜嵐先輩見たら
亜嵐先輩もこっち向いて
隣でケラケラ笑う亜嵐先輩と
少しふてくされてる私
傍から見たら変な二人なんだろうな、笑
少し歩いたら
屋台が見えてくる
結構賑わってて
屋台行きたいけど、
でも食い意地張ってる
とか思われたくないし…
こういう時は金魚すくいとか言うべき、、??
入り口の所まで歩いていったら
やっぱり人が多くて
思わずはぐれそうになる
そしたら急に手を掴まれて
何食べよー
って私の手を引きながら言ってる亜嵐先輩の後ろ姿は
頼もしくて。
男の人と来るの初めてだけど
素直に楽しめそうな気がした
そう言って笑いながら
たこ焼き屋さんの前に行って
そう頼む亜嵐先輩が子供に見えて
そう言って握ってる手を見せてくる先輩
先輩は一年しか変わらないけど、、、
すごい大人だ
そんなこんなで両方買えて
2つとも先輩に奢ってもらっちゃった……
近くにあった椅子に座って
でも食べてみたらほんとに熱くて
熱すぎて涙目になったら
ご飯を食べるのにも笑ってばっかで
食べ終わった頃にはもうすぐで花火が上がる時間
本当に少し足場が悪くなってきて
足元を見ながら歩いてたら
小声でそういう先輩見たら
先の方見てて
その視線の先見たら
そこに居たのは
あのマネージャーの子と涼太くんで
……………キス………してて
私のその声で
二人が私達に気付いたのかこっちを見る
思ってもないことが口から出て
本当は、
胸が苦しくて、痛くて、張り裂けそうで
二人が付き合ってる。
なんて聞かなくても分かったよ
涼太くんの隣は私じゃない。
その子だったんだ
先輩が小声で私に言ってくる
頷いたら
もうこの場に居れなくて
浴衣着てるし下駄だけど
そんなの気にしてる暇なんてなくて
来た道を走って帰る
走って走って
人混みを通り抜けて
色んな人に見られるけど
もうどうでもよくて
人の声が小さくなった
って思った時
パシッ
誰かが私の腕を掴んだ
振り向いたら
なぜか先輩の顔見たら涙が溢れてきて
先輩も走ってきたのか息が少し上がってて
近くに石で作られた塀があって
そこに座る
笑うけど、
自分でも笑顔が引きつってるのが分かる
そっかー
って言ってる亜嵐先輩
そこまで言ったら
また涙が溢れてきて
そう言って
私の頭を引き寄せた先輩
先輩がそう言った瞬間
花火が上がって
先輩の横顔が照らされる
私は………
その時浮かんでくるのは
なぜか涼太くんの顔で
だめだな私…
私のこと思ってくれる人がこんなに
近くに居るのに、
やっぱり好きなのは涼太くんで…
片思いがこんなに辛いなんて
知らなかった
改めて辛さを知ったら
また涙が出てきて
現実の辛さに。
先輩の優しさと温もりに。
胸が苦しくて
ただ花火をボーッと見つめることしか出来なかった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!