前の話
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ぼんやりと外を見る
あ、あの子遅刻してる。
あのクラスの担任怖いのに。ご愁傷さま
あ〜眠い。
こんなに朝早く毎日決まった服を着て
毎日同じ道を歩いて
年上の人の興味のない話を聞いて
ていうか先生もぶっちゃけ古典とか興味ないでしょ?
だったらみんな興味のある漫画とかゲームとか、恋愛だって、そう
そういう科目があればいいのに
どういう気持ちが好きって事とか
彼氏や好きな人がいる場合は、こういう選択をするのが適切ですっ!とかさ。
まぁ恋なんていつだって予想外で、突然のものなんだろうけど
ガタン
ん?
眠そうに頭を下げているクラスメート
カツカツと黒板とチョークの音
朝、学校に着いて授業を受ける
いつもと同じ朝だった
1つ.......除けば
、
教室に大きな声が響く
授業中だったクラスが静まり返った
開いた古典の教科書にある作者の顔に
落書きをしていた私の手は
その声によって止められた
生徒と同じく先生もポカンと口を開け
1人の男子生徒を見ている
視線の先にある張本人も
自分の発した声に驚いているようだった
1人が噴き出すと、一斉に笑い出すクラスメイト
.......アホだ、あいつ
そういうわたしも例外じゃなくて、笑いが堪えられず
手の中のクマのシャープペンシルは震えていた
今、奇声と共に立ち上がった黒髪のそいつは、眠りから覚めて飛び起きたようだ
立ち上がったままの北村勇太の親友、高岡凌は、勇太を指さして爆笑してる
先生もニヤニヤしながら勇太に声をかけた
普通は怒るところじゃないんだろうか
そんな周りの騒ぎなんて全く気にせず勇太は私に振り返った
真剣な顔をしてゆっくり歩いてきて
私の席の前で立ち止まる
ん?なになに、この状況?私なんかしたっけ?
クラス全員が勇太と私を見ている
勇太は深呼吸して口を開いた
.......は?
状況が呑み込めない
再び教室が静まりかえる
顎が外れそうなくらい爆笑してた稜も笑うのを辞めて固まってた
ちょ、ちょっと待って
クラス中が爆笑した
眠たかった古典の授業
勇太の言葉で一気に目が覚めてしまった
勇太は机に手を置いて顔を私に近づけた
勇太の唇は震えているのに、曇ってない目だけは真っ直ぐ私を見ている
私の返事の後、ワッとクラス中が騒ぎ出す
先生まで私達を茶化し
もはや授業所ではなかった
勇太はガッツポーズをして喜んでいる
勇太の笑った時に見える八重歯が可愛らしい
親友の若森夏希も私に声をかけて
ピースサインをしながらニッとわらった
私が全部言い終わる前に勇太が私にキスをした
クラス中がまた騒ぐ
退屈な古典がこんなに盛り上がることが
この先あるだろうか
盛り上がるみんなとは対照的に私はパニックだった
また勇太が笑う
絶対大事にする可奈を一生離さねぇから
この言葉が本物だったなんて.......思わなかった
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。