第235話

Story251
193
2020/10/14 00:25
マスター side

書斎に呼ばれ入ると父とあなたのお父さんが話し合っていた
マスター
マスター
どうかしましたか
父
まあまあ、座って

ウィスキーでも飲む?
マスター
マスター
頂きます
ウィスキーのロックが目の前に置かれる

飲むと芳醇な香りが鼻を抜ける
父
ところであなたとはどうかな?

ほら、さっきアイドルとの熱愛が出てたし
マスター
マスター
あなたさんとは仲良くさせてもらってます
父
それは異性として?

それとも元上司として?
マスター
マスター
そうですね、後者かと
父
そっか
マスターの父
マスターの父
ルイは知ってたのか?

レイが家を捨てること
マスター
マスター
昨日の夜、聞きました

けど父さんの耳に入れるのもどうかと

きっと姉さんは自分で報告したいだろうと思って
マスターの父
マスターの父
そういうことか

まあレイの性格なら仕方のないことなのかな
マスター
マスター
それに父さん、姉さんを自由にさせてあげて欲しい

姉さんは今回のことで傷ついてる

それも2度も

1度目は結婚の時、2度目は今回の離婚のことだ

姉さんは結婚する前の晩、泣きながら電話をしてきた

私は幸せになる為に腹をくくるってね
マスターの父
マスターの父
傷ついてるからって家を捨てて大学の一教授と結婚するってのはどうなんだ

傷ついたからこそ幸せな結婚をさせたいんだ
マスター
マスター
なら初恋の彼と結婚させてあげてよ
マスターの父
マスターの父
じゃあルイ、お前に枷をつけていいんだな
マスター
マスター
望むところです
父
まあまあ、そこまでにしてよ

それにルイくんがあなたと結婚したくないならそこはさ仕方ないことだし
マスターの父
マスターの父
ルイ、どうなんだ?
マスター
マスター
僕はあなたさんのこと、好きです

僕の命をかけて幸せにしたいです

プロポーズもしましたし

けど彼女の気持ちは僕ではないところにあるかと
父
なるほどね
マスター
マスター
僕はあなたさんに幸せになってもらいたい

だから僕との結婚は無理強いしません
父
ありがとう

まあ、ここにいない本人について話し合っても無駄かな笑笑

アイツにはちゃんと向き合わないとな
マスターの父
マスターの父
前向きにお願いします
父
わかってるって

君はレイちゃんのこと、大切にね
マスターの父
マスターの父
全くレイも何考えてるんだか
ロイ
ロイ
ごめん、姉さん連れてきた
ロイがノックをして部屋に入る
レイ
レイ
お父さん、ごめんけどお父さんが勧める人とはできない
ロイ
ロイ
父さん、俺からも頼む
マスターの父
マスターの父
2人とも、いい加減にしないか
ライ
ライ
父さんこそ、相手のことをよく調べましょうよ

父さんが選んだ彼、社内にヒアリングしたところ、何人かに手を出してます

このまま大切な妹をそんなやつと結婚させたくありません
マスターの父
マスターの父
ライ、なら他に人を探すまでだ
ライ
ライ
父さん、僕との約束覚えてますか?

僕が結婚するのと引き換えに兄弟の結婚に口を出さないって

今回のレイの件について約束は有効ですよね?
マスターの父
マスターの父
わかったよ、レイの結婚を認める

ただ、2度とうちの敷居を跨ぐな

もし子供が産まれて育児に困ってるならいつでも顔を出せ
レイ
レイ
父さん、会社を兄さんに譲ったから暇なだけなんでしょ?
泣きながらそう笑う姉さん
父
あーあ、相談役も暇だから老後ライフとして孫育てたいなぁ

男の子なら一緒にモナコでモナコグランプリみたいし

女の子なら一緒にパリコレ見たりしたいしなぁ
マスターの父
マスターの父
引退ライフ、楽しみですね
マスター
マスター
相談役、次こそはじゃじゃ馬にならないようにしないとですね
父
だな

アイツには無理をさせ過ぎたからなぁ

何より俺に似てるからなぁ
マスター
マスター
男前すぎるんですよ

僕なんかより
氷が溶けて薄まったウィスキーを流し込む

飲み時を失ったウィスキーはまるで僕とあなたの関係のようだった

部屋に入ってベッドに倒れ込む

スマホを見るとウェディングドレス姿のあなたが笑いかける

その笑顔は僕に見せる笑顔ではない

好きな奴に見せる笑顔だ

一気に流したウィスキーのせいで酔いが回る

目を閉じるとすぐに眠りについた












you side

自分のマンションに着き、携帯を開くとホンソクからの着信に気づく

時差を考えると向こうは昼の時間だった

実家の電話にかける

すると執事が電話に出た
(なまえ)
あなた
📞もしもし

メンバーの誰でも良いから繋いでくれる?
スタッフ
スタッフ
📞わかりました
保留音が流れる

止まると電話口から好きでたまらない人の声が聞こえる

飲んだシャンパンの力を借りて胸の内を言う
(なまえ)
あなた
📞好きだよ

とっても

愛してる

ただそれだけ

一緒にいたいの
そういうと電話を切る

答えは次に会った時に聞けたらいい

今はその答えを聞く勇気がない

顔が一気に熱くなる

冷やす為にシャンパンを開け、瓶に口をつけて流し込む

ベランダに出てタバコに火をつけようとするも手が震えて上手く火がつかない
(なまえ)
あなた
どうしたんだろ、私
やっとついたタバコの煙を吸い込み、吐くと煙は夜風で流れてゆく

私の思いも彼の元に流れていけばいいのに

プリ小説オーディオドラマ