シノン side
あなたがマスターの指示で服を脱ぐ
始めは恥ずかしがっているのか胸を手で隠していた
けどマスターの一言でスイッチが入ったのか堂々とポージングしていく
2人の喧嘩の声が聞こえる
マスターもずっとあなたのことが好きで大切に思っていたことがわかる
撮影が終わるとあなたはバスローブを羽織り喫煙所でタバコを吸う
するとライさんが追いかけて一緒に煙をくゆらせながら話している
明らか、あなたとライさんの顔は空元気だった
喫煙所から戻ってきたあなたは1人スタジオの隅で泣いていた
レイさんがあなたのメイクを直す
あなたは僕の腕を引いてメイクルームに行く
メイクルームにはドレスがかかっていた
慣れた手つきであなたはドレスを着る
あなたは髪をかき上げて後を向き、無防備な背中を晒す
正面を向いたあなたは美しくて言葉がでなかった
上目遣いで僕の目を捉える
あなたの目に吸い込まれるようにキスをする
あなたと手を繋ぐ、自然と指を絡ませてきた
その手を離したくないと思う
それからみんなで車に乗り込む
あなたは運転席に座る
助手席に僕は座る
窓を開けて風に髪の毛をたなびかせている
助手席に初めて座って気づいたことがある
あなたの運転姿に惚れないやつはいないと
バックする時の振り返った時の首筋、ハンドルを握る手、信号待ちの時に吸う電子タバコ、全てにおいて魅力を感じる
車から降りてマスターのお店に入る
初めてあなたに出会った時に入った地下ルームに行く
するとマスターにライさん、レイさん、ロイさんと今日のブランドの関係者などが集まっていた
you side
パーティー会場に入るとロイに話しかけられた
私は人混みから離れて電子タバコを吸う
するとシノンがやってきた
タバコを吸い終えて、挨拶回りに行く
ライのことなんか忘れてみんなを売り込むことに集中する
するとパーティー会場の照明が落ちてステージが照らされる
そこにはライと知らない女性がいた
清純でライの3歩も後を歩くような控えめな女性だった
私とは真逆のタイプだった
お似合いで2人で照れあってる姿を見て視界がぼやける
すると後ろから手を引かれて人混みから離れ、隅にいく
ふわっと抱きしめられた
暗闇で顔がよく見えない
けどこの優しい温もりはシノンだった
私はシノンの優しさに甘え静かに泣いた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。