前の話
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今日は、待ちに待った日。
大好きで大好きで、リア恋な彼に会う日。
そう、3度目の写真集お渡し会!!
初めましても2度目ましても何故か大号泣してしまって、何もできなかった……。
けど今回は、服も、髪型も、メイクも、徹夜して完成させた!
Twitterにも参戦報告済み……いける!
列が形成され、並びながら頭の中は何を話そうかと妄想をめぐらせる。
呼ばれた!
3度目のリベンジ……。
仕切られたパーテーションの中にはいると、甘い香水の匂いが鼻を掠める。
テーブルを挟んだその向こうに、ニッコリと笑顔をうかべる彼がいた。
ニッコリと笑いかけ、手を差し出す彼は、私の最推しでリア恋の相手…。
高崎翔太くん!!
3度目ましての彼が、テーブルを挟んで実質ゼロ距離にいる…。
今までの気合いと頭の中での妄想(シュミレーション)が一気に吹っ飛んでしまい、代わりに頬を涙が伝うのがわかった。
いきなり目の前で泣かれて驚いたのか、翔太くんはオロオロしながら私の頭を撫でた。
その行為もまた嬉しくて、涙を助長させるに過ぎなかった。
情けない、涙と鼻水でグズグズだ。
やっとまた会えたのに…必死で色々考えてきたのに……。
今度こそ認知して貰いたいとメイクも髪型もバッチリキメてきたのに……。
翔太くんはひたすら泣き続ける私を慰めるように話を聞いてくれた。
本当に情けない、迷惑な奴だな……これじゃ…一生認知されないんじゃ……
スタッフさんにそう言われ、剥がされて泣きながら翔太くんの横を通り過ぎたその時…
微かに、だけどハッキリ…こう言われた。
って…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。