第19話

呪霊退治3 〇
272
2021/07/16 10:59
(なまえ)
あなた
怖い怖い怖いこわいこわい
見たことある光景



これは夢だ


またこの夢だ



また森を走って制服はパジャマになり裸足で走る



この先にいる


四足歩行で階段を駆け上がる

走っているのかもう分からない

涙でぐちゃぐちゃで何も見えないのに



後ろから迫ってくる目が私を離さない






この先にいる
あの時と同じであの人がいる


夢だから分かる

背中が見えた




(なまえ)
あなた
すく、なさん
ゆっくりこちらを振り向く
虎杖悠仁
虎杖悠仁
あなた?
会いたかった

私をここから救ってくれる人

その胸に飛び込む
(なまえ)
あなた
宿儺さん!!
五条悟
五条悟
あちゃー

またパワーアップしちゃってるなー
虎杖悠仁
虎杖悠仁
え?え?

あなたなんでパジャマなんだ?

しかもあれなんだよ

伏黒はどうしたんだよ!?
怖い怖い怖い怖い怖い
目が目が目が

私を見て離さない
五条悟
五条悟
錯乱しちゃってるねー

あなたの呪術であの呪霊は
1級レベルまで強化されてる

僕がとめておくから悠仁

説得しといて
虎杖悠仁
虎杖悠仁
え?説得たって…あ!ちょ!

どうなってんだよあなた
(なまえ)
あなた
目が目が

私を

見て

離さない
(なまえ)
あなた
みんな飲み込む

あの口が私を食べに来る
(なまえ)
あなた
怖い怖いこわい怖い
(なまえ)
あなた
助けて宿儺さん
必死にお願いしているのに助けてくれない


なんで?


私は誰にも救われないの?

あの映画みたいに1人で死ぬの


この世界に誰も誰も

私と同じ世界の人はいない

私は誰?何故ここにいるの?

悲しい苦しい
虎杖悠仁
虎杖悠仁
あなた

落ち着けよ
目の前に力強い目がうつる

凍える心に触れるほど綺麗な目だと思った
(なまえ)
あなた
すく、なさん…じゃない

虎杖…君?
真剣な顔で私の顔を見続ける

その横からぬっと手が出てきて強制的に野薔薇ちゃんの方へ顔を向かせられる
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あなた、あんたなにやってんのよ!

言ったでしょ

あなたにはあなたしかできないことがあるって

私が守るから、アンタにしかできないことしてきなさいよ
ものすごく怒っている

でも怖かったから
(なまえ)
あなた
で、でも呪霊が…
私倒せないよ

あんなの無理だよ
パシーンっと音とともに頬に痛みがはしる
虎杖悠仁
虎杖悠仁
おい釘崎!
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
黙れ非モテ!!

あなた,私はあんたが言った

みんなを守れるぐらい強くなりたいって言葉信じていた

なのに何も守れずになにしてんのよ!
確かに言った


この世界の人間ではないけど生きるために

生きる過程で触れ合った仲間を守れるぐらい

そのぐらい強くなりたいと
(なまえ)
あなた
うっ、ひっぐ
嘘つきの自分が嫌になる

でも怖いのも嫌

逃げたいと思う自分が情けなくなる

恥ずかしいからここから消えたいとも思う


ごちゃごちゃになっていく感情に押しつぶされそうになる


虎杖君が力強い目で私を見て言った
虎杖悠仁
虎杖悠仁
あなた
泣いていても呪霊は居なくならないんだ

この間にも誰かが死んでいく

俺が、野薔薇が、五条先生が、伏黒が

そしてあなたが祓わないと

ずっと人を殺していくんだ
そっとその手を握られる

それに重ねるように野薔薇ちゃんの手も重なる
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あんたがいないと駄目なのよ
臆病な私の心に少し勇気が芽生えた

あぁなんて情けないんだろう

その手を強く握り目が口がいる世界を振り向く


(なまえ)
あなた
っ!
五条先生と伏黒君が術式を使って戦っている

最初に見た時より巨大になり

その巨体を縦横無尽に動かし続けている

目がこちらをむく





恐怖が込み上げてくる

小さな勇気が消えそうになる

釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あなたあんなのどうだってことないわよ
虎杖悠仁
虎杖悠仁
怯えるばっかだと肩こるぜ
2人はにやりと笑い

呪霊の元へ走った
(なまえ)
あなた
あ……
アニメの世界のような戦闘シーンが目の前で

起きている



別の世界から見ているような


急に感情が遠のいた

私を縛っていたものが解けたような感じがした




(なまえ)
あなた
これは私の世界じゃなかったんだ
自分で呟いた言葉はすっと胸に染み込んだ

どう足掻いてもこの世界は私の世界じゃなかった

世界も私も受け入れないのだから歩み寄れないんだった





自分の目の前に手のひらを広げ

化け物だけ見えないように覆う



見えなくなった事に安堵する

嬉しくて口が緩む



そしてゆっくりと潰すように
手のひらを握りしめていく
(なまえ)
あなた
もう手に入らない

だってこれは
私の世界じゃない・・・・・・・んだもん
潰しこんだ手を視界からのけてると
もう化け物はいなかった


胸元までおろした握りつぶした手のひらをゆっくり開いて見る


(なまえ)
あなた
私は私だったよね?
何も無い手のひらが世界からの答えな気がした


ぼんやりと何も無い手を見続けていたら

野薔薇ちゃんが名前を呼びながら抱きついてきた



釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あなたやるじゃん!!

どうやって倒したのよ!

お祝いしないとー!
笑いながら嬉しそうにしている野薔薇ちゃんは可愛かった

その後に続くように
虎杖悠仁
虎杖悠仁
本当どうやったんだ?

急に呪霊がギュギュッて潰れていなくなったんだよ

あなたやっぱお前凄かったんだな!
伏黒恵
伏黒恵
できるなら最初からしてくれ

世話が焼ける
虎杖君と伏黒君も笑いながらそう言ってくれた

私は答えなければならない
(なまえ)
あなた
ごめんなさい

初めてだったからパニックになったみたいで

でもコツが分かったからもう大丈夫だと思う!

迷惑かけてごめんね
そう言うとやれやれと言った感じで

伏黒君は肩を叩いてくれた
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
うっわー、まじムッツリじゃん
きもいわー
その手をぱっぱと払うようにしてくる野薔薇ちゃん
伏黒恵
伏黒恵
ムッツリとはなんだ
そんなふうに触っていないだろ
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
その発言がセクハラだわー
萎えるわー慰謝料として銀座のディナー連れていって貰わないとねー
ね、あなた
ニヤッと笑う野薔薇ちゃんに
私も笑い返して伏黒君に言う
(なまえ)
あなた
そうだねー

せっかくだし奢ってもらおうかなー

私が初めて祓えたお祝いにさ
伏黒恵
伏黒恵
はぁ!?なんでそんな話になるんだ!
虎杖悠仁
虎杖悠仁
いいないいなー
俺もそれに混ぜてくれよー!

俺ステーキ食いたい!
伏黒恵
伏黒恵
奢らないって言ってんだろ!
仲良く笑う同級生

仲間の1人として笑う私




私は胸糞悪い映画のようにはなりたくない

ハッピーエンドしかありえない



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