目を開けるとよく分からない空間にいた
揺れる灯篭が、四面に張り巡らされた御札を照らす場所
実際主人公のように後ろで手を縛られているし
そう思っていると、思っていた人物が目の前にしゃがみこんできた
そういってくる最強さんは微笑んでいた
笑っているけど絶対答えないと死ぬやつだ
でも
なんと伝えたらいいのだろう?
アニメの世界に来た一般人ですなんて通じないだろうし
私だってよく分かっていないし
でも帰れないのならここで生きていくしかないし
生きていたら帰ることも出来るかもしれないし
アニメとは言わずに素直に言ってみよう
この人はアニメでは1番強い呪術師で最強みたいだし
助けてくれるかな…
そういうと最強さんはグイッと顔を近づけてきた
キスされる!?
と思ったのは勘違いで直ぐに顔を話して面白そうに言ってきた
私が違う世界から来ているのがわかっている?
なんて説明したらいいのだろう……
そう考え、私の中で組み立てた仮定を話すことにした
笑われちゃうかもだけど
言ってる私も笑っちゃうような言葉を信じて欲しくて真剣に伝えた
最強さんは口角を上げたままこちらを見てくるだけ
え?
私も呪術が使えるの?
それなら使えるようになりたい
お化けに対抗出来るぐらいとりあえず自分を守れるようになりたい
うんうんと勢い頷く私をみて
そんなに教えて欲しいのかー!と面白そうに笑い言う
願うってどういうふうにしたらいいんだろう?
なんで両面宿儺さん?
まさか!!!
夢と思っていただけで
もしかしたら私!!
私瞬間移動できるんだ!!
そう思い立った私は喜んだ
この能力ならお化けに襲われてもすぐ逃げれる!
もう追いかけられなくてもいいんだ!!
そうに違いないと思い、早速神様に祈るように両手を組み、優しい手を思い出しながら願った
そう願いしばらくたった
気合いを入れて願ってみたから瞬間移動ならもう着いていると思う
そう思いながら恐る恐る目を開けると何度もみた骸が見える
安堵するために骸の終わりを見つけるように上を向くと見知った瞳と目が合う
私が逢えたことに安堵していたら
そう言った彼の膝の上にいつの間にか座っていた
急なことすぎて驚いた
私はいつ移動したんだろう
そう思ったけどすぐに答えはでた
無意識に移動して膝の上なんて
怒るんじゃないかな
確認するためにゆっくりと彼を見上げる前に
頭を撫でられた
優しい手
アニメでは恐ろしい呪いの王だけど
実は優しい人だったんだ
しばらくその手を楽しんだ
穏やかな時間が流れる
そう言われた
呪詛師……確か…悪いやつだったよね?
パッと両面宿儺さんの顔を見ると
ニヤっと笑った
そういえば
両面宿儺さんがアニメの中で言ってた楽しむって
いやそもそも大昔の両面宿儺さんが人めちゃくちゃ殺してんだっけ?当時の人達止めれなかったんだったよね
楽しむって殺すってこと!?
主人公に変わった時女子供がいっぱいって喜んでた気がする
殺すってこと!?
やばいから主人公に指食べさせて死ぬか、今すぐ死ぬかって言ってたよね!?
人殺すの!?
人殺したくない
そう言ったら呪いの王は怒るだろうか
急に背筋が冷たくなる 手に汗もかきはじめる
まだ死にたくない
でも人殺すなんて私にはできない
そして人を殺している呪いの王も見たくない
どうしたらいいんだろう
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!