戸を開けてもそこは綺麗に手入れされた家だった
ここに住んでいた人達は、呪霊退治のため出ていってもらっていると伊地知さんが言っていた
私たちは1階から回ることにした
1階は客室や使用人の部屋など部屋が多かった
外からは見えなかったけど
所々に箱庭もありお金持ちの家だなーと思った以外
特に何も無かった
2階に登りながら伏黒くんにそういうと
何かを考えているのか伏黒くんはぼんやりとした返事をしてきた
伏黒くんの様子がおかしかったが
そのまま2階へあがった
2階はここに住んでいた家族の部屋と娯楽部屋など様々な部屋があり
見ていて面白かった
呪霊の気配もなかった
私は呪力の痕跡が何故か見づらく伏黒くんにそれは担当してもらっていたが
隅まで見ていた伏黒くんでも見つからなかった
黙ったまま何かを考えている伏黒くん
邪魔したらいけなさそうだったから
そのまま待つことにした
窓から外を見ると丁度家の裏側なのか綺麗な山林が見えた
ぼーっと山林を見ていると
急に腕を掴まれて引っ張られて驚いた
何か思い当たることがあったのか
私を引っ張るように階段を降りた
たどり着いたのは綺麗な箱庭が見える渡り廊下
庭師が凄いのか
和な雰囲気だけど所々に花がひっそりと咲いていて心落ち着く空間だった
その言葉を聞いて伏黒くんを見上げると眉間にシワを寄せていた
伏黒くんは箱庭に続くガラス戸を開けて箱庭に降り立つ
あ、たしかに
そう思った
行く先々部屋やトイレだったりでそういう通路はなかった
そう言って伏黒くんは砂利を蹴りながら
箱庭の隅にひっそりと咲いている花の方へ歩いていく
私も箱庭へ出る
そう言ってある場所に座り込み手で白い砂利をどかし始めた
どかした砂利の下には確かに扉があり取っ手がついていた
そういう私の目を伏黒くんはじっと見つめてきた
なんでこんなに今日は見てくるんだろう?
不思議そうに思っていると伏黒くんが言う
やっぱり私と虎杖くんとか野薔薇ちゃんが組んだ方が良かったかもしれないけど
こうなってしまったのはしょうがない
そう言って地面に着いている取っ手を引っ張った
思った以上に重いのか伏黒くんは
だいぶ力を入れてやっとゆっくりと扉は開いていく
よくある隠し通路と言った感じで下へ続く階段が出てきた
暗い空間は苦手だけど伏黒くんがいるから大丈夫だと思う
そう言って少し濡れている階段を転ばないように1歩ずつ降りていく
伏黒くんが着いてこないので振り向くと
伏黒くんに見下ろされている
もしかして明かりが必要なのかな
ポケットの中からでてきた懐中電灯を取り出し
伏黒くんの足元を照らしてあげる
そういえば最初の五条先生の特訓で胸糞映画見ていた時
そういえばそんな話をしたけど
なんでそんなに心配してくれるんだろう?
ゆっくりと私の近くまで降りてきた伏黒くんは
何を考えているのか分からないけどまた眉間にシワを寄せていた
そう言い背中を任せてゆっくりと光のない階段を降りていった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。