そう言葉にしたことで
感情がぐちゃぐちゃと私の心に流れ込む
分からない分からない分からない
頭を抱える
何も分からない
誰かが両手首を掴んでくるけど
それを振り払おうともがく
手首が軽くなる
誰かが吹き飛んだ
涙が零れる
道が分からなくなった子どものように泣きじゃくる
不安で孤独で悲しくて寂しくて
身体が軋む
顔を覆う
寂しい恋しい
嗚咽と共に赤い血が出る
悲しみか痛みかどっちかも分からない涙は止まらない
身体が痛い
呼吸するだけで針を飲んだかのように痛む
苦しい苦しい辛い辛い
なんで
アイツのせいだ
白い家から野薔薇ちゃんが走って駆け寄ってくる
野薔薇ちゃんの後ろから他の皆も駆け寄ってくる
心配そうに怒る野薔薇ちゃんは私の頬に両手を添えようとしたそれを払う
アイツを壊さないと
そう思ったのに
私を捕える目は綺麗だった
アイツを殺そうとした手は届くことは無かった
唇が震える
怒りで思考が止まり始める
先生の呪術により見えない壁に阻まれる
壁越しにこちらを見るアイツは笑っていた
憎い憎い
そう言って先生が1歩前に出そうとした時
虎杖くんが私を肩を掴み
揺さぶりながら言う
真剣な眼差しが私を見ているのだろう
でも私が見るのはあの目だ
冷たい目が私を見る
冷たい目が私をみて離さなかった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。