第28話

私は ⚫
248
2021/07/05 23:31
手足から少しづつ潰していくことにした

呪霊のため中々潰すのは難しいが上手にできていると思う


悲鳴のような呻き声が聞こえるけど別にどうでもよかった



牢屋の半分まで溜まっていたドロドロを無くした



床に足をつき呪霊を眺める



牢屋から逃げようとする呪霊を鉄格子で覆った
(なまえ)
あなた
潰れるってどんな気持ち?

教えてよ
そう言って呪霊を鉄格子に押しこんでみた
ギチギチと音がする

悲鳴のような呻き声は続く
(なまえ)
あなた
ねぇ、同じ存在に潰されるのってどんな気持ち?

私たちは仲間みたいなものなのにね

どうしてこんなことするんだろうね?
ブシュと1部の身体が内容物を守りきれず飛び散る

飛び散る液体はじゅわっと床の1部を溶かす



もっともっと潰さないと


脳裏に焼き付いた

爆ぜたトマトのように



(なまえ)
あなた
くふっ

あなたはどんなふうに飛び散るの?
この先起こる未来を想像すると面白くてしょうがなかった

(なまえ)
あなた
あなたがいけない

呪霊なのだから

私は何も悪くない
またブシュっとどこか耐えきれずはじける

ミシミシと音が鳴る


悲鳴のような呻き声はまだ元気よく響く




心が軋む音がする



(なまえ)
あなた
丈夫だね
いつ爆ぜるの?
ボタボタと体液が床に広がっていく

悲鳴のような呻き声は少しずつ小さくなってきた
止めてあげると小さく懇願するような呻き声をあげる

遠くの方から

伏黒くんの声と光が近づいてくる
(なまえ)
あなた
私たちはよく似ているね

みんな来ちゃうから

バイバイ
ぶしゃっ


呪霊もトマトのように爆ぜた


面白くて笑ってしまう



人も呪霊も似すぎている

一体何を境界線にして分けられているのだろうか
伏黒恵
伏黒恵
あなた!大丈夫…か…
伏黒くんが懐中電灯を私に照らす

(なまえ)
あなた
うん、大丈夫だよ

呪霊も何とかやっつけたよ
鉄格子の中から伏黒くんの方へ近づく
この牢屋出口の扉とかついてないんだけどどうしよう


そう考えていると伏黒くんが声をかけてくる
伏黒恵
伏黒恵
あなた…
(なまえ)
あなた
でたいけど扉無いね

なに?
伏黒恵
伏黒恵
お前はあなたなのか?
鉄格子を挟んで私たちは見つめ合う

(なまえ)
あなた
私は私だよ

当たり前じゃん
眉間にシワを寄せてじっと見つめてくる伏黒くん
伏黒恵
伏黒恵
玉犬…
(なまえ)
あなた
え?もう呪霊は倒したよ

わんわんは大丈夫じゃない?
伏黒恵
伏黒恵
お前が信用出来なくなったんだあなた
心が軋む音がする
(なまえ)
あなた
なんで?
急にどうしたの?伏黒くん
伏黒恵
伏黒恵
お前は何かが変わった

最初の呪霊を祓うまでお前はあなただった

周りに怯えて寂しがる人懐っこい同級生だった

お前は呪霊を祓ってから何かが変わった
(なまえ)
あなた
そりゃー呪霊やっつけてから人も変わってくるんじゃない?

だって呪霊相手に怯えるとか死ぬかもしれないでしょ

変わらざる得なかったってやつ
伏黒恵
伏黒恵
違う!
伏黒くんとオオカミは唸るように私を見て構える
心が軋む音がする
(なまえ)
あなた
急にどうしたの?

呪霊倒したんだから早くみんなに会おうよ
伏黒恵
伏黒恵
お前なんで笑ってたんだ?

怖いの苦手だっただろう?

なんで暗闇を自由に動けるんだ?

考えれば考えるほど違うんだよ

最初の頃の普通の女だったやつが急にここまで変わるわけないだろ!
心が軋む

伏黒恵
伏黒恵
五条先生は聞くなって言ってたけど


あなた俺たちに何を隠しているんだ?

宿儺と関係しているがそれだけじゃないだろ

お前の呪術も何か違うんだ

教えてくれ
私が違う世界の人間であること


彼はこれが知りたいんだろう

でもこれは言いたくない
(なまえ)
あなた
言えない……

何も聞かないで欲しい

私はただの同級生

それだけでいいの
伏黒恵
伏黒恵
信用できないんだ

俺だって仲間だと思いたいが
底が見えないんだ

あなたが分からないんだ
鉄格子を握り伏黒くんに近づく

身体を鉄格子に添わせて



(なまえ)
あなた
ねぇ




私はなんだと思う?
私はずるい人間


五条先生のように伏黒くんにも決めさせる


考えるのが嫌になってきた
にっこりと笑いそう聞いてみた
伏黒恵
伏黒恵
分からない

あなただけどあなたとは思えないんだ
心が軋む


どこかブシュと音をたて漏れた気がする
(なまえ)
あなた
正解
鉄格子の中から伏黒くんを見つめる
(なまえ)
あなた
私にも分からないの

私ってなんだろうね?
心が軋む

声にならない悲鳴を上げている

ボタボタと零れていく
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あなたーー!ダサ男ーーー!!

ここにいるのーー!?
野薔薇ちゃんの声が遠くから聞こえる

鉄格子の外から私をみる伏黒くんは



得体の知れないものを見るように見ていた


もう考えるの疲れたな



心が軋む



声にならない悲鳴は小さくなっていく
(なまえ)
あなた
私ね

別世界からきたの

ここの世界だけどここの世界じゃないとこ
伏黒くんは目を見開いた


私は笑った
伏黒恵
伏黒恵
あなた……お前はなんなんだ?
心が爆ぜる



私はなんなんだろうね
両面宿儺
両面宿儺
可愛い雛が泣いておるな
虎杖悠仁
虎杖悠仁
あ、急になんだよ!

いっつも急に喋るよな
こちらに近づく同級生たち

宿儺さんの声がする
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あなた!

なんでそんなとこいるの!

扉ないじゃん

どうやって入ったの
野薔薇ちゃんが懐中電灯を照らしながら私の手を握る

暖かい手だった
虎杖悠仁
虎杖悠仁
これさすがに力技じゃ壊せないよな
そう言って鉄格子を広げようとする虎杖くん
両面宿儺
両面宿儺
良い顔になったなあなた
目と口だけ虎杖くんの頬からのぞかせ声をかけてくる宿儺さん



ボタリボタリと爆ぜた心が垂れ落ちる





伏黒恵
伏黒恵
虎杖、釘崎


こいつに近づくな

虎杖は宿儺を黙らせろ
得体の知れないものを見る目で


私を見てくる伏黒くん



両面宿儺
両面宿儺
クヒッアハハハハッ黙っていようじゃないか

面白い余興だ
虎杖悠仁
虎杖悠仁
2人して何言ってんだ

伏黒

お前もどうしたんだよ
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あなたを出すのが先決でしょ

さっさと伊地知さんに言って

チェーンソーでも持ってきて開けてもらうよ
伏黒恵
伏黒恵
近づくなぁ!!!!!
私に近づこうとする同級生を怒鳴る伏黒くん





私はそっと鉄格子から手をはなし

牢屋の奥で壁にもたれるように座り込む



考えるのが疲れた
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あなた!大丈夫!?

伏黒!何言ってんのよ!
伏黒恵
伏黒恵
そいつはあなたじゃない!!!
虎杖悠仁
虎杖悠仁
何言ってんだよ

呪霊と戦っていたんだろ

あなたボロボロになってるじゃないか

早く治療してもらうのが先だろ
伏黒恵
伏黒恵
近づくな!お前たちのために言ってるんだ
私もその余興を眺めることにした


心が垂れ落ちる

伏黒恵
伏黒恵
五条先生とあなたがなぜ隠していたか分からないが

あなたはこの世界の人間じゃない


前からおかしいとは思っていたんだ


ほかの呪術師と何かが違っていた
虎杖悠仁
虎杖悠仁
何わけわかんないこと言ってんだよ

別世界でもあなたはあなただろ
伏黒恵
伏黒恵
お前もわかるだろ!!

あなたは怖いの苦手だったんだろ

なんで普通にこんな地下に戸惑う素振りもなく1番前をスタスタ歩けるんだよ
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
女の度胸なめないでよね

これだから男は女心わかってないのよ
虎杖悠仁
虎杖悠仁
伏黒とりあえず落ち着け

伊地知さんに言って
五条先生に来てもらったらいいじゃないか
伏黒恵
伏黒恵
……笑うんだよ

呪霊見ながらそいつは笑ってたんだよ

人が目の前で弾け飛んだのも笑って見てたんだよ


いつもと変わらない感じでな!
同級生がみんな私を見る

私はにっこり笑った
伏黒恵
伏黒恵
そいつを今殺した方がいい

それは普通じゃないんだ
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
何言ってんのよ!さっきからごちゃごちゃと!!

アンタ友達殺せとか頭おかしくなったんじゃないの!?
虎杖悠仁
虎杖悠仁
呪霊見て気がおかしくなる呪術師もいるんだろ?

あなたはそれかもしれないだろ

なんで殺すとか言うんだよ
垂れ落ちる内容物もなくなった


私は誰なんだろうね
伏黒恵
伏黒恵
ちょっとは頭使えよ!

宿儺の関係者は今のところ虎杖とあなただけだ

虎杖は宿儺の器だとわかっているが

あなたはなんなんだ?


宿儺があなたをこんな風にしたんだろう
両面宿儺
両面宿儺
心外だな

小僧お前の仲間は気が触れているのか
虎杖悠仁
虎杖悠仁
お前に言われたくねーけど

今の伏黒はおかしい
伏黒恵
伏黒恵
宿儺……

お前だろう

あなたが変わったのはお前のせいだ
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あんたってやつは!
面白い余興だ

人はなんでこんなに感情をもてるのだろう
両面宿儺
両面宿儺
心外だと言っておる

なにかしたのはお前たち・・・・だろう
虎杖悠仁
虎杖悠仁
はぁ?なんもしてねーだろ
両面宿儺
両面宿儺
お前たちが壊したんだ

あなたを壊したのはお前たち呪術師だ
何も分からない

私は誰?
両面宿儺
両面宿儺
雛が泣いておる

小僧身体をかせ

この格子壊してやろう
虎杖悠仁
虎杖悠仁
いや、それは…
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
あなたはこんなやばいやつにずっと言われ続けてたんだから

早く出すべき!

あなた!こんなやつのこと聞かなくていいからね

すぐ出してこいつに合わせないから!!
伏黒恵
伏黒恵
ダメだ

ソイツを出すな!
虎杖悠仁
虎杖悠仁
あーーーーもううるせーーー!
虎杖悠仁
虎杖悠仁
伏黒!!お前は落ち着け!!

とりあえずあなたを先ずここから出す!

で、五条先生に見てもらう!

釘崎!伏黒抑えててくれ
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
まかしな
伏黒恵
伏黒恵
お前らは何も分かっていない!

だからバカなんだ!
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
バカはあんたでしょーがっ!!
虎杖悠仁
虎杖悠仁
宿儺…少しだけだからな
虎杖くんの身体に模様が浮かぶ
両面宿儺
両面宿儺
容易いなぁ
そう言って宿儺さんが呪力で鉄格子を曲げる

曲げた鉄格子から身を滑り込ませ

私の前に座る
両面宿儺
両面宿儺
もうオマエは分かっているだろう?


あなた
(なまえ)
あなた
私は……
虎杖悠仁
虎杖悠仁
あなた大丈夫か?

伏黒はよくわからないこと言ってるけど気にするなよ
目の前で宿儺さんは虎杖くんに変わる

心配そうに私を見てくる虎杖くん

そして立たせてくれようとしているのか手を差し出されるためその手を握る
(なまえ)
あなた
違う
虎杖悠仁
虎杖悠仁
ん?






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