1度外に出た私たちは案の定
野薔薇ちゃんや虎杖くんはいないのを確認して
隣の洋館へ入った
玄関からしばらくの部屋はどこを写真撮っても絵になるような豪勢な部屋だったが
2階に上がった途端に異様な事を感じ取った
伏黒くんは人に見えるような人形を観察していた
椅子に座っている人形は純白のドレスを着て
空のティーカップを手に取ろうとして時が止まっていた
その精密に作られた人形は美少女だった
白銀の髪は美しく、左耳にかけられており
薄く開いている空の色をした瞳は白銀のまつ毛で守られるように存在した
その目は空のティーカップを見つめているのだろう
伏黒くんは首を振った
私たちは部屋を後にした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!