第27話

呪霊より怖いものは
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2021/07/11 12:57
長い階段を降りていく

地下のせいかじっとりとしているが薄ら寒いそんな空間

階段を降りていると異臭が鼻につく


(なまえ)
あなた
伏黒くん…なんか臭いね
伏黒恵
伏黒恵
気をつけるぞ
(なまえ)
あなた
うん
降りるほど異臭は強くなる

それと同時に嫌な予感を感じ、緊張が体全身を巡る


階段を降りきると奥が照らされないほど長い通路と

その左右には牢屋のような部屋が並んでいた
(なまえ)
あなた
これって……
伏黒恵
伏黒恵
昔の家には座敷牢というのがあったと聞くが

その名残にしては…あなたそこを照らしてくれ
伏黒くんが降りてすぐの右の牢屋を照らすように指示する

言われたようにそこを照らすと
(なまえ)
あなた
っ!!!!!
そこにはおそらく血と思われるものがぶちまけたように壁にこびりついていた

時間はたっているはずだが妙に生々しさを感じた
伏黒恵
伏黒恵
伊地知さんから聞いたが

昔から使用人はいなくなっていたそうなんだ

だが代々の当主はそう言われても
逃げたのだろうと言って取り合わなかったらしい

確かに雇われていた使用人達は借金まみれや身寄りがないなど

何かしら問題を抱えている人間が多かったみたいだ
(なまえ)
あなた
拷問?
伏黒恵
伏黒恵
それは分からないが趣味のいいものでは無いだろうな

今回俺たちがここに派遣されたのは

ここの当主がいなくなったからだ
じゃあそれまで


いなくなった人は……

いやまだ真実は分からない
(なまえ)
あなた
いこうか…
そこから鉄格子を一つ一つ照らして確認したけど


何も無ければさっきのように血の跡らしきものがあったり

骨のようなものがあったり

腐った何かがあった牢屋もあった
(なまえ)
あなた
最悪だね
伏黒恵
伏黒恵
そうだな
歩いていると遠くから小さい声が聞こえる
ぱっと伏黒くんを見るといくぞと言われ

慎重に先をすすむ


その声はかすれて消え入りそうな声だった
たす、て
声のする方へ懐中電灯を照らしながら探していると

それは急に映りこんだ


人が牢屋にめり込むように押し付けられていた



皮膚は裂け
肉が牢屋の外に
むきエビのように

ぷるっと押し出されていた

目玉も鉄格子の間から出てきているが

押し付けられていることで

頭蓋骨から押し出され

血を流しながら取れそうなほど

飛び出していた


あまりの悲惨さに言葉を失いかけたが

まだ生きている


すぐに助けようとおもい

その肉塊になりかけている人に声をかけ手を伸ばした
(なまえ)
あなた
今助けますね
伏黒恵
伏黒恵
ダメだ!避けろ!
襟首を捕まれ引っ張られると同時に

押し付けられていた人は潰れたトマトのように鉄格子の外に勢いよく爆ぜた


言葉にならない声が支配する
(なまえ)
あなた
なんで……
伏黒恵
伏黒恵
祓うぞ!あなた!
鉄格子の中にいたそれは鉄格子を壊し

私たちへ襲いかかる



私は横へ避けたが視界が真っ暗になった伏黒くんは私の名前を呼ぶ
伏黒恵
伏黒恵
あなた!大丈夫か!?

何も見えん!
(なまえ)
あなた
大丈夫!
呪霊は私の方を見ていた

伏黒くんはこの真っ暗の中では何も見えていないため
(なまえ)
あなた
大丈夫!私が引きつける!みんなを呼んできて!
そう言い来た道の方へ走った

誘われるように呪霊は私を追いかける
伏黒恵
伏黒恵
あなた!!
伏黒くんが私を呼んだ気がするけど

今は無視することにした





呪霊は牢屋を破壊しながら迫ってきた

(なまえ)
あなた
すっごい気持ち悪い呪霊ね

ストーカーはやめてくれる?
醜悪な様をした呪霊に向き合い

手をかざしその肉体の1部を潰した

足を潰された呪霊は勢いよく転ける



(なまえ)
あなた
ここで死んだ人たちの無念と憎しみと悲しみ

そして拷問をしていた当主たちの欲望と

この劣悪な環境が呪霊を強くしたんだね
足を復元している呪霊を天井から見下ろす
なおし終わるとすぐに手が伸び私がたっていた場所に穴が空く


穴が空いた部分は嫌な匂いをしながら一部溶けている
(なまえ)
あなた
人は醜い……

醜いからこそ呪霊が生まれるんだね
あの身体に触れると溶かされる可能性があるため

伏黒くんと距離をとって正解だった
そう思っていると目の前に鉄格子が降りる

(なまえ)
あなた
呪術…

こうやって人を閉じ込めたのね
鉄格子が降りたと思ったら牢屋に私はいれられていた
笑い声のような呻き声をしながら呪霊は牢屋の中にいた
(なまえ)
あなた
(私はどうやって殺されるのだろう?)
呪霊はドロドロとその体を溶かした

そのドロドロは足元にきて靴を1部溶かした



すっと宙に浮くと


笑い声のような呻き声をしながらまだ溶ける






おかしい鉄格子の牢屋なのに


ドロドロが牢屋内に溜まってきているのだ

牢屋と通路の境目に見えない壁があるかのように溜まっていく


時々ドロドロの液体を私に飛ばしてくるため

避けるが壁にあたり小さいドロドロが服に穴を開け当たった部位は火傷のようになっていた
(なまえ)
あなた
趣味わる……
この呪霊は私が少しずつ追い込まれている様子を見て喜んでいるのだ


(なまえ)
あなた
人間の感情はなんて醜いんだろう

こんな化け物を創り出すなんて……



あぁ、私みたい・・・・
私の心が冷めていくのを感じる


私は呪霊を






少しずつ潰し始めた

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