私はそう言って手を振りほどいた

面白そうに宿儺が笑う

それがおかしくて私も笑ってしまう

虎杖くんが宿儺さんを叱る

何もしていないのに

伏黒くんの呪術を払いながら宿儺さんの言葉を訂正する

野薔薇ちゃんが何かを叫んでいる気がする

それさえもどうでもいい

私から離れようとする虎杖くんに縋る

逃がさないように手を絡めとり

そのまま神様に祈るように手を組む

必死に逃げようとする虎杖くんは面白かった

そう願いながら目を瞑る

遠くで誰かが叫ぶ声がする



どうでもよかった



暖かい手が私の頭を撫でる

そうやって頭を撫でられながら

両腕で抱きしめてくれる存在

目を開くと

おそらく呪術師全員が畏怖すべき存在

呪いの王が優しく私を抱きしめてくれていた

そう言う宿儺さんの目は美しいと思った

その腕の中で微睡む

暖かい手が私を抱きしめてくれる

おそらくアニメを見て気になった時から

無意識に気に入ったキャラだったんだと思う

より一層の抱きしめてくれる

もう無いはずの心がふわふわする

宿儺さんの言う通り

心地が良い

ぷんぷんとしていると

そっと顎を上に向かされて口付けされる

優しく笑う宿儺さんに縋った

宿儺さんも人間だった


でもその容姿で生まれた時から人に呪われ続けた

人として受け入れられず名前さえ奪われて神としてこの世界で生きることを余儀なくされた

何も出来ない幼いうちに全てを神のせいだと言われ続けて

そして力を得た宿儺さんは

弱者を蹂躙した

呪いはかけられ続ける

呪術師からは呪いの王と言われ

また呪われ続けた

人は彼の呪術を神業と言ったらしいが




結局人がそういう風にしたんだ

愛を受けられず信仰という狂気に呪われ続けて




私たちはよく似ている



人なのに人ではなくなった私たちを理解できるのは





私たちだけ

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