目の前に立つ虎杖くんに笑いかける
心配そうに見てくるその顔には傷跡が増えていた
私がいない間に色んなことを経験して強くなった1人の呪術師がそこにはいた
広い空間に全て魔除の文字が書かれた部屋に私たちはいた
私たちから離れたところに等間隔で1級以上の呪術師達がたっており私たちを囲んでいた
虎杖くんの頬から口が現れる
そう言って笑った
虎杖くんは俯いて何かをボソッっと言ったけど聞き取れなかった
虎杖くんは目を閉じた
ゆっくりと黒い刺青が虎杖くんの身体に巡る
そう言ってゆっくりと私の周りを歩き始める
ゆっくりと回る
ゆっくりと廻る
廻る廻る廻る
目の前に立つ宿儺は歪んだ愛を含んだ笑みをした
背筋がゾッとした
宿儺の指が私の髪に触れる
気味が悪かった
そう睨んだのに宿儺はニヤニヤと笑い続けた
苛立ちその胸ぐらを掴んで願った
身体が一気に脱力感に襲われる
宿儺は最後まで嘲るように愛おしいものを見るように見下ろしてきた
肌にまで残る気持ち悪さが離れない
刺青は無くなり頬にあった痣もなくなった虎杖くんが抱き抱えてくれる
目隠しを外して虎杖くんを見る先生はそう言った
安堵して私は意識を手放した
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。