あの後私は答えを出せなかった
自分の命と他人の命を天秤にかけても決断できない私は中途半端な存在に感じた
頭を撫でる彼はそう呟いただけで何も私に言わなかった
彼の手は優しい
いつかこの優しい手を失うのだろうか
気づくと最強さんがいて、私は縛られたままだった
戻ってきた
どうやって帰ったか分からないけど
消えたい
そう一瞬でも思ったから戻ってきたんだと思う
中途半端な気持ちを抱えた私をみて最強さんは言った
呆れたように言葉を続ける
そういう最強さんはじっと私を見てくる
目隠ししているのに何か見られてる感覚になる
私は両面宿儺さんと話したことを伝えた
私の力は呪術師より呪詛師の方がむいており
いつか両面宿儺さんが自由になった時
一緒に楽しもうと言われたことを
私は人を殺したくないが、まだ生きていきたい
いつか元の世界に帰るという希望は失いたくないため、両面宿儺さんを殺すという選択ができないこと
手を縛られているが、できる限り深く深く頭を垂れて許しを乞う
この世界を生きることを
この世界で死ぬことを
私の生死さえ決めさせてしまうワガママな自分を
惨めな私に涙がでそうになる
帰れるなら帰りたい
でもそれはできない
この世界を平凡に生きる事も許されない力と関係を持ってしまった
不幸なのか幸せなことなのか
今は生きたい
ただ生きている限り帰れる可能性は0じゃない
この世界に来た奇跡があるなら
帰る奇跡だって存在するに違いない
今は生きたい
その後に続く最強さんの言葉に驚いたが
私は、
受け入れた
そういう五条先生の後に同級生になる3人の前に立つ
呪術高専の制服を着て
そうお辞儀をしながら挨拶をすると3人3様な言葉を聞く
私も驚いたけど、この世界の人達はこれが当たり前なのかすぐに適応してくれる
五条先生には感謝している
おじいちゃん達はなんとか言っておくよー
そう呑気に言っていた先生
もっと酷いこと覚悟していたけど
先生は時間をくれた
これから学んでこの先自分で決めれるように時間をくれた
今はこの奇跡に感謝しないと
呪術廻戦?何それ?といわれ急いで訂正しながら一緒に笑う同級生になった子達と今日から頑張っていこうと思った
今できることをしてみる
そんな小さな目標を掲げて
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。