第56話

階段←巻きもどる
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2021/07/30 12:36
(なまえ)
あなた
どうしたの?早く行こう……よ
伏黒くんに見下ろされている

伏黒くんの足元に照らしている懐中電灯は私が創り出した

私は今から地下に降りるはずだった


地下の牢屋にいる呪霊を殺すために





何故、私はそれを知っているのだろう?





伏黒恵
伏黒恵
あなた……前、虎杖から聞いたんだが

お前怖いの苦手なんだろ?

大丈夫なのか?
何故かその質問に既視感を感じて違和感を感じた
(なまえ)
あなた
(私は怖いのが嫌い…だったはずなのに

なんでどうでもいいと思ったんだろう?)
見下ろしている伏黒くんの目を見返す





何かがおかしい





それだけは分かった
伏黒恵
伏黒恵
あなた?
怪しむように眉をひそめて私の名前を呼ぶ


怪しんでいないのかもしれないけど


何故かそう思ってしまった
(なまえ)
あなた
伏黒くん…私怖いの嫌いだよ
伏黒恵
伏黒恵
そうか……
さっさと行こうとしていたから
怖くないかと思った
(なまえ)
あなた
うん…私がしっかりしないとって思っちゃって

ねぇ伏黒くん
伏黒恵
伏黒恵
なんだ?
(なまえ)
あなた
やっぱりみんなと合流して行かない?
私は懐中電灯の灯りを消して途中まで降りた階段を登った


伏黒恵
伏黒恵
さっきの話聞いてたか?
(なまえ)
あなた
うん

野薔薇ちゃんや虎杖くんがこういうの見つけたらすぐ入りそうだから

すれ違わないように行こうって話だよね?
伏黒恵
伏黒恵
なら急にどうしてやめるんだ?


なぜと言われても……
(なまえ)
あなた
こわいから
伏黒恵
伏黒恵
え?
(なまえ)
あなた
おかしい?私だってこわいんだから

怖いのが嫌いな事を思い出した途端に

鳥肌が立った


鳥肌を隠すように自分を抱きしめる


(なまえ)
あなた
(私は私だよね?)



自分が怖くなった


私でない私がいるような気がした



無意識に身震いをした
伏黒恵
伏黒恵
……わりぃ
(なまえ)
あなた
え?
伏黒くんは困ったような顔をしながら言った
伏黒恵
伏黒恵
あなたが怖いの苦手なの知っていたのに

俺はあなたに色んなもの背負わせてたんだな
(なまえ)
あなた
どうしたの急に?
伏黒恵
伏黒恵
…もっと頼れよ

お前が俺たちを頼ってくれるのを

待っているから
そう言ってかすかに口角をあげた伏黒くん
なんとなく心が暖かくなった気がした
(なまえ)
あなた
……ありがとう

みんながいるから
みんながいるから……私は私でいれる?

強くなれる?





既視感を感じる


懐かしく苦しい感情が触れる
(なまえ)
あなた
みんながいるから……頑張れるだけだよ

でもありがとう

嬉しかった
伏黒恵
伏黒恵
あぁ、とりあえずあいつらの所に行ってみるか
(なまえ)
あなた
うん

本当にいいの?
伏黒恵
伏黒恵
もし隣の館に居なかったら地下に行こう

あいつらうるさいからすぐわかるさ
確かにと思いクスッと笑う

もう鳥肌は治まっていた



伏黒くんは地下の扉を閉めて玄関へと歩き出した


私もそれに倣って追いかける





何かが変わった気がした
友人
友人
どうも作者です


3回目ループになりました


3回目以降のループからペナルティが生じるようになります


今回のお話のように前のループでのあなたの名残りが良くも悪くも影響してきます





ループ数を重ねればその分のあなたが今のあなたに影響を及ぼしてくるのでループ回数にもご注意をー

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