「特級過呪怨霊祈本里香
422秒の完全顕現。このような事態を防ぐために乙骨を君に預けたのだ。申し開きの余地はないぞ。五条悟」
「何をふざけている!!祈本里香があのまま暴走していれば町一つ消えていたのかもしれんのだぞ!!」
「…………乙骨の、秘匿死刑は保留だと言うことを忘れるな」
ザッザッ
パコン
乙骨くんは
確実に力を延ばしている
いいなあ
凄いなあ
そんなふうに思う
私には
たった1人の
兄がいた
兄はとても優秀で
何でもできて
優しくて
完璧だった
だけど
高専へ来る前に
真人という特級呪霊に
襲われて殺された
私その真人と言うやつが
嫌いだ
悟くんよりも嫌いだ
兄さんを殺した
兄さんが亡くなる前は
家からの私への扱いは
酷かった
毎日毎日
雑用係
それでも
兄さんだけは
私を強くしてくれた
なのに
その兄さんがなくなってから
家の者からの扱いは
天と地がひっくり返ったかのように
変わった
以前のような
雑用はなく
兄さんと同じ扱いを受けた
私はそんなに家が大っ嫌いだ
だから、
高専へ行こうとした
けど
止められた
苦しくて
悔しくて
そんな時に
五条悟が現れた
初めは警戒したけど、すぐに解けた
"頑張らなくていいんだよ"
そんな言葉を聞いて私は
頬から
暖かいものが流れてきた
そう言われてついて行くと
そこには…
お父様と
花が
私の情報を共有している所だった
私は絶望を感じた
この世には
幸せになるなと言われているみたいで
何も感じ取れずに
気づいたら高専にいた
まあ
それでもいいや
全てが嫌だ
頭がトンカチで殴られたように痛くて
私って
案外脆くて
大したことないんだ
そう感じた
何も答えられずにいる私を見て
痺れを切らした五条悟は
気づいたら勝手にそう言ってた
五条悟は
ニィっと笑って
高専へと来た
兄さん…
見ててね
どうしたの?というように
優しい目で見てくる
あの日に言えなかったお礼を
言った
悟くんは
すぐに意味を理解して
と言った
切ります
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!