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第5話

応用。
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2018/08/21 09:39
その後、なんにもないように授業を受けた。
理科は得意分野なので、ぼんやりと聞き流すことが当たり前になってしまっている。
いっつもよくしてくれている竜禅寺先生には悪いけど。
教科書とノートは飾りみたいなもの。
勿論提出物はきちんとしている。
授業態度くらい、見逃してほしい。
こんなの言ったら、我が担任尾崎先生に怒られそう。
ぼんやりと空を見上げていた。
竜禅寺 終
竜禅寺 終
ここ、式を用いてすること。
えーっとじゃあこの例を小花衣。
次の応用を冷泉、頼む。
竜禅寺先生も人が悪い。
わざわざ胡桃ちゃんと私をセットにしなくてもいいでしょう?
反抗的な態度は授業中は取らないほうがいい。
あくまで従順に。
小花衣 胡桃
小花衣 胡桃
はーい!
先生、私、応用やってみたいです!
何言ってんだろ、胡桃ちゃん。
竜禅寺先生の言う応用は高校レベルじゃないって、知ってるでしょ?
だからこそ私を指名しているわけだし。
水無瀬 誠
水無瀬 誠
せんせー、勝手な発言許してくださーい。
小花衣、お前にそのレベルが解けるとは思えねぇんだけど。
ド正論。
うん、そうだよ。胡桃ちゃん見栄っぱりは損するだけだから。
そろそろ問題解かないとダメなんじゃないか、とか思って重い腰を上げる。
黒板までの道のりが嫌に遠く感じた。
歩くことへの恐怖とか?そんなのがあるのかもしれない。
さっきの出来事、自分で思っているよりも結構気にしてるのかも。
冷泉 碧
冷泉 碧
ごめんなさい、お待たせしました。
これ、解けばいいんですよね?
竜禅寺 終
竜禅寺 終
解ける?
にやにやと笑いながら挑発してくる竜禅寺先生。
どこか大人げない。というか子供っぽい。
冷泉 碧
冷泉 碧
解けますよ。これが高校レベルじゃあないことも分かってますけど。
そういうと、少し目を見開いた先生。
え、まさか分かってないと思ってました?
見くびらないでほしいですね。
しん、と静まり返ったままの教室。
私と先生との視線が絡まり合っているようで、なんだか居心地が悪い。
私と竜禅寺終。
ただの生徒と教師という関係。
なんにも怪しいことなんてない。
落ち着いて、落ち着いて。
落ち着いたら、少し竜禅寺先生を見て問題に取り掛かるの。
チョークで文字を書くっていうのは生憎まだ慣れていない。
カツカツ、という静かな音。
リズムよく、滑らかに。
頭をフル回転させて。
周りなんて気にしないの。
思っていたよりも問題が難しかった。
少し手こずってしまった。
手こずる、と言っても平均よりは早いだろうけどね。
冷泉 碧
冷泉 碧
なめないでくださいよ。

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