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第5話

オスマンの場合 前
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2021/03/10 11:32
オスマン
オスマン
ほんまに大先生は…
くどくどと紅茶を啜りながら説教するオスマン。

大体お前は〜と新しい話に入ることがわかり、ゲッソリとする鬱先生。
鬱先生
鬱先生
ま、まあまあ、これで許してくれへん?
こ、これは!!と目をキラキラとさせるオスマン。

鬱先生の手には何時間も並ばなければ買えないというスイーツ屋の可愛いらしい包装をされたクッキーが。

1口サイズのクッキーが仕切られた箱に入っている様子は化粧箱のようで、上品かつ、愛らしいデザインだった。
オスマン
オスマン
…ふ、ふーん、ええもん持っとるやん。今日だけは許したる。
チョロチョロのチョロっすわwと内心嘲笑う鬱先生。

その表情に青筋を立てながらもクッキーを摘むと、ぱくっと口の中に入れる。
オスマン
オスマン
…?なんか変な味…
その違和感に顔を歪めた瞬間、聞いたことのあるようなボフン、という軽い音の後に煙が立ち込めた。
鬱先生
鬱先生
ぷっ、あっはっはっは!!掛かったなオスマン!!
状況を理解できないオスマンは、その小さくなった体を見下ろして、ようやく自分が名探偵コ○ン化する薬を飲まされたのだと察する。
オスマン
オスマン
だいせんせい…
鬱先生
鬱先生
なんや、文句あるなら言ってみぃや。その小さい体じゃ俺には敵わないだろうけどなぁ!!
ガハハと笑う鬱先生は正に悪役のソレ、であった。

悪役鬱はさぞオスマンが悔しがるだろうとニンマリ企んでいたわけだが…
オスマン
オスマン
…いやーほんまたんじゅんやなぁ。
おぼつかない滑舌で、オスマンはニマニマと言う。

思惑とは違った言葉が発されたことにふぇ、と困惑する鬱先生。
オスマン
オスマン
小さい体、なってみたかったんだよね〜これならお菓子ももらえるし、かわいいし。
じゃ、後はたのんだわ〜とチビオスマンが服を引きずりながら出ていった。

はっと我に返ったのは耳元からトントンの怒声が飛んできた時だった。

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