第4話

グルッぺンの場合 後
862
2021/03/08 08:26
オスマン
オスマン
んふふ、計画通りグルッぺンのおこぼれが貰えたわ。
肥満になるからって禁止されてたんだよね、と美味しそうにスイーツを頬張るオスマン。

その後ろにヌッ、と黒い影が
ひとらん
ひとらん
オスマンっ!
オスマン
オスマン
ほぁ!?
後ろから伸びてきた手に頬を挟まれたオスマン。
トントン
トントン
ひとらん、なんで食堂に?
ひとらん
ひとらん
は?そりゃご飯食べに来たに決まってんじゃん。もうお昼過ぎだよ?
仕事をしていて気づかなかったがグルッぺンが幼児化してからかなりの時間が経ったようで、もう日は沈む用意をしていた。
グルッぺン
グルッぺン
ひとらんも食べるか?
ひとらん
ひとらん
いらな…ってグルッぺン!?
またその反応か、とウンザリしながらケーキを食べるグルッぺン。

ワナワナと震える手をその金髪の上に乗せるひとらん。
ひとらん
ひとらん
か…
オスマン
オスマン
か?
ひとらん
ひとらん
可愛い…
え、なにこれちょー可愛いじゃん!!と興奮気味でワシャワシャする手をグルッぺンは嫌そうに避ける。
ひとらん
ひとらん
この姿どうしたの?
離れてしまった温もりに名残惜しそうにしている。

トントンがここまでの経緯を話すと不思議そうに聞く。
ひとらん
ひとらん
へぇ、でもそれってなにが原因なの?
トントン
トントン
いやだからAPTXのパクり…
ひとらん
ひとらん
そうじゃなくて、その薬を服用するか、それが溶けているものを飲んだり食べたりしなきゃその姿にはならないでしょ?
ああ、と納得した様子。

ひとらんが話している内容に明らかにビクつくグルッぺン。なにか心当たりがあるようだ。

その辺のことには鋭いオスマンはジッとグルッぺンを見つめる。

その圧に観念したのか白状し始める
グルッぺン
グルッぺン
いや、実は机の中に飴玉があって…前隠したやつの残りだと思って舐めたらこの通り…
ははは、と彼方遠くを見つめるグルッぺン。
トントン
トントン
ほーん、飴玉を毒味もなく…しかも?前に隠したやつだと勘違いして…?
オスマン
オスマン
つまりは前にお菓子を隠してたことがあるってことやな?
グルッぺン
グルッぺン
あっいや、これは言葉の綾でだな…
と、トントンとオスマンが飛びかかろうとした瞬間、聞いたことのある音と共に白い煙が立ち込めた。
ひとらん
ひとらん
ゲホッゲホッ、ちょっとなにこれ…
オスマン
オスマン
もしかして…!!
おお!!という地を這うようなバリトンボイス。

先程よりも背の高く、ガタイの良くなったグルッぺンが立っていた。
グルッぺン
グルッぺン
やっぱりこっちのほうがしっくりくるな!!
ひとらん
ひとらん
で、でもなんで…半日は作用するんじゃ…
あ、となにか思うところがあるのか声を上げるトントン。
トントン
トントン
飴玉やから少ししか摂取できなくて、効果が薄かった、とか…?
あ〜、と納得の声が食堂を満たした。

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