第4話
4Channel 凶暴化
答えられずに俯いて言い淀んでいると、
光くんから助け舟が出される。
優くんは聡いので、
もしかしたらなにか勘づいたかもしれない。
そう思ったら、
優くんのほうを見ることができなかった。
***
登校して早々、
今日は休校になることが決まった。
下駄箱で外靴に履き替えていると、
同じクラスの男子生徒と肩がぶつかる。
その瞬間、また見えてしまった。
頭に浮かぶのは傘の先を咥えて
学校の階段から落ちる彼の姿。
口から後頭部まで、
傘が突き刺さるビジョン。
よろめいた私の腕を
光くんが掴んだ。
お礼も言えないでいると、
光くんが顔を覗き込んでくる。
説明する暇もなく、私は駆け出す。
すると、まさに傘の先を咥えて
階段の上に立つ男子の姿が。
声をかけてもその目は虚ろで、
なにを話しかけても返答がない。
ブツブツと呟いている男子生徒を止めるべく、
階段を上がろうとしたら──。
それよりも先に、男子生徒が飛び降りた。
私の真横を勢いよく
大きな物体が落ちていく。
それが人だと理解したのは、
背後でズサリとなにかが肉を貫く音がしたから。
私に飛び散る生温かい血の感触や、
鉄さびの匂いを感じたから。
震えながら、恐る恐る振り返る。
傘に貫かれ、うつ伏せに倒れている男子生徒。
その後頭部から突き出ている傘の先端には、
肉片と血がついていて、
ポタポタと床に赤いシミを作っている。
悲鳴をあげる私のもとに、
走る足音が近づいて来て──。
光くんと優くんが駆けつけて
きてくれたのがわかった瞬間、
私は腰を抜かした。
光くんが後ろから抱きしめてくれて、
私の目を手で覆う。
私はふたりに連れられて、
その場から離れた。
***
翌日、クラスから2名もの死人が出たことにより、
保護者会が開かれることになった。
学校側は原因究明に努める、という説明だけで、
保護者からはかなり責められたらしい。
でも、本当に原因がわからない。
これで謎の死の連鎖が終わるのか
不安に思いながら、
授業を受けているときだった。
私のいる窓際の後ろの席から、
斜め前に座っている
男子生徒の手元が見えるのだが……。
スマホ画面を熱心に見ている。
ハラハラしていると、案の定──。
先生に咎められ、
彼はスマホを没収されてしまう。
没収した彼のスマホを見た先生は、
怪訝そうに首を傾げた。
不審がる先生に、
男子生徒がいきなり掴みかかる。