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2021/09/18

第28話

28Channel 光希END
突如として現れた配信者の亡霊を前に、
私は優くんと固唾を呑む。
配信者
配信者
逢沢優希、
好きな相手を殺せ
逢沢 優希
逢沢 優希
そんなこと、できるわけ──ぐうっ
優くんは配信者に命令されると、
無理やり身体を動かされているみたいに、
不自然な動きで私に近づいてくる。
逢沢 優希
逢沢 優希
なんで、身体が勝手に……っ
必死に抗っているのが、
優くんの表情から窺えた。
あなた

優くん! 
優くんになにをしたの!?

逢沢 優希
逢沢 優希
あなた、逃げるんだ!
配信者
配信者
いいものをやろう
配信者は優くんに、ナイフを手渡す。
逢沢 優希
逢沢 優希
ふざけるな……俺は、
こんな物……っ
無理やり握らされたナイフを
手放そうとしている。
逢沢 優希
逢沢 優希
なんでだよ……っ
自分の意思に反して、
ナイフをしっかり握りしめてしまう優くん。
あなた

(私はどうすれば……)

配信者
配信者
大切な人間を殺して助かるか、
自分が死んで大切な人間を守るか……
どちらか選べ
あなた

それで証明しろっていうの?

あなた

(どちらが死んでも、
どちらも悲しむのに)

逢沢 優希
逢沢 優希
くそおおおおっ
襲いかかってくる優くんを前に、
私は動けなかった。
あなた

(どちらかしか助からないなら、
私は……)

あなた

ごめんね、優くん

私はその場から動かずに
優くんを待った。
あなた

(ごめんね、私が死んでも、
どうか自分を責めないで……)

それだけを願って、
優くんのナイフに刺される
覚悟を決めたとき──。
逢沢 光希
逢沢 光希
させねえよ!
横から弾丸のごとく飛んできた光くんが、
優くんにぶつかる。
あなた

光くん!?

逢沢 光希
逢沢 光希
全員のしてきたから、
追いかけてきた
あなた

無事でよかった……。
来てくれて、ありがとうっ

逢沢 光希
逢沢 光希
当たり前だろ。
お前たちのことは、
俺が守るって決めてんだ
強く笑う光くんに、
一気に心には安心感が満ちていく。
あなた

(そうだった。光くんは、
いつだって私のヒーローだった)

逢沢 優希
逢沢 優希
光、ごめん! 
俺……身体が……っ
苦しそうに言いながら、
優くんは光くんを何度もナイフで
切りつけようとする。

武器を持っていない光くんは、
時々ナイフが手や頬を掠めて、
血を流していた。
あなた

(兄弟同士で争うなんて……。
じゃあ、私が死ねばいいの?)

そんな考えが浮かんで、
あの日みたいに亜子が飛び降りた
フェンスの向こうを見つめる。
逢沢 光希
逢沢 光希
バカなこと考えんなよ!
自分を犠牲にして守られても、
優と俺が苦しんで生きてくだけだ!
逢沢 光希
逢沢 光希
俺たちを守りたいなら、
生きて守れ!
あなた

ああ……

あなた

(一瞬でも、悩んだ自分が
バカだった)

目が覚めた私は、
配信者を真っ向から見据える。
あなた

今ここで私が死んだら、
それは私の大事な人たちから
逃げることになる!

あなた

だって、死んだらすべてが
無になるんだよ。
親友を守れなかった罪も、
贖えなくなってしまう!

配信者
配信者
とってつけたような言い訳だな。
そんなに死にたくないのか
あなた

私はもう、幼馴染も親友も
大事だと思える人ができたら、
その人を裏切らない

あなた

それはこの先の私の生き方で
証明する!

あなた

それに、私は自分が助かりたいから
生きるんじゃない。
私の大切な人たちを
泣かせないために生きるんだ

配信者は黙り込む。

その間にも、光くんと優くんが
争っているのが視界の端に映る。
あなた

(心配だけど、今は光くんに任せよう。
今私がやらなきゃいけないのは、
配信者を納得させて
呪いを終わらせることだ)

配信者
配信者
お前は陰でしか親友を助けなかった。
見て見ぬふりをしていた人間と
同じだろうと俺は思っていた
配信者
配信者
だけど、あの女の言った通りだったな
配信者はチラリと
フェンスの向こうへ目をやる。

すると、そこには信じられないことに……。
前島 亜子
前島 亜子
久しぶりだね、あなた
もう会えるはずのない
親友の姿があった。
あなた

嘘……本当に亜子なの……?

前島 亜子
前島 亜子
誰だってイジメられるのは怖い。
それでも勇気を出して、
あなたは助けてくれてた
あなた

私はただ、人目のないところで
話を聞いてあげることくらいしか
できなかった

あなた

本当にごめんなさい……っ

ぶわっと涙が溢れて、
私はその場に泣き崩れる。
前島 亜子
前島 亜子
自分を責めないで。
あなたは証明してくれた。
今度こそ迷わずに誰かを守ること
前島 亜子
前島 亜子
だからこれからは、
大切な人を失わないように、
全力で守っていって
前島 亜子
前島 亜子
あなたにはそういう
強い心があるんだよ。
私が死んだことで、
忘れちゃってただけで
あなた

(亜子は、罪悪感に押しつぶされ
そうになっていた私に気づいて
いたんだ)

あなた

約束する。
もう私は迷わない

亜子は笑って、
景色に溶けるように消えていく。

その瞬間、配信者の姿も消えて、
優くんの身体も自由になった。
逢沢 光希
逢沢 光希
終わった……のか?
逢沢 優希
逢沢 優希
多分……ふたりとも、
なにも諦めないでくれてありがとう。
おかげで俺はまだ、
ふたりのそばにいられる
逢沢 優希
逢沢 優希
やっぱり光希は
あなたのヒーローだな
逢沢 光希
逢沢 光希
なに言ってるんだよ、
お前がいなきゃとっくに死んでた
あなた

そうだよ。誰も欠けちゃ
いけなかった

逢沢 優希
逢沢 優希
でも、敵わないって
思っちゃったから……。
ふたりとも、幸せになってね
あなた

え……?

逢沢 優希
逢沢 優希
俺は他のみんなが無事か、
見てくるよ
柔らかな笑みを浮かべて、
優くんは屋上を出て行く。
あなた

優くん、ひとりで
大丈夫かな?

逢沢 光希
逢沢 光希
……今はひとりにしてやれ
自然と会話が終わり、
私たちは空を仰ぐ。

さっきまで厚い雲に覆われていたのに、
そこには澄み渡る青が広がっていた。
逢沢 光希
逢沢 光希
全部終わったな
あなた

そうだね……

あなた

(全部終わったから、
伝えてもいいかな)

隣に立つ光くんの手を、そっと握る。
あなた

いつも守ってくれて、ありがとう。
やっぱり光くんは、私のヒーローだよ

その横顔を見上げると、
熱のこもった瞳が向けられる。
あなた

……ようやく言えるよ。
光くん、私は光くんが好きです

逢沢 光希
逢沢 光希
……っ、生きてお前の返事が聞ければ、
どんな答えでもいいって思ってた。
でも、心が通じ合ってわかったよ
逢沢 光希
逢沢 光希
やっぱり、お前が欲しい。
これから先も、
俺にお前を守らせてくれ
ふたりきりの屋上で、
引き寄せられるように私たちは
唇を重ねる。
あなた

(この先、また同じことが
あったとしても……)

あなた

(私は迷わずこの人のために
命を懸ける)

あなた

(もう二度と、
大事な人を失わないために)

親友が教えてくれた大切なこと。

この日、新たにした決意を
深く、強く心に刻むのだった。


(光希END)