第3話

3Channel 死の足音②
10,253
2021/03/27 11:00
逢沢 優希
逢沢 優希
ああ、【加害者同盟】、
人気だよね
あなた

そうなの?

逢沢 優希
逢沢 優希
人が死ぬシーンばかり
アップしてるんだ
あなた

どういうこと? 
本当に人が死ぬシーンなの?

逢沢 優希
逢沢 優希
いや、CGとか合成じゃないかな?
本当だったらまずいだろ?
逢沢 光希
逢沢 光希
規制されねえの?
逢沢 優希
逢沢 優希
普通はね。でも規制されずに
ずっと流れてるんだって
逢沢 光希
逢沢 光希
くだらねえ
興味なさげに光くんは言い、
歩き出す。

私たちもそのあとを追い、
教室に着くと人だかりができていた。
逢沢 優希
逢沢 優希
なんだろうね?
逢沢 光希
逢沢 光希
入口に集まりやがって、
前に行けねえ。おい、通せ
光くんの一声で、
みんながはけていく。
あなた

光くん……そんなふうに
メンチ切ったりして、また
みんなに誤解されちゃうよ

逢沢 光希
逢沢 光希
別に、お前と優希にだけ
理解されてればいい
あなた

光くん……

思わずドキッとしてしまったとき、
逢沢 優希
逢沢 優希
ダメだ、あなたは見るな
優くんが私を振り返って、
慌てたように目隠ししようとする。

でも、遅かった。
あなた

なっ……

目の前に広がっていたのは、
スマホの持ち主が血だまりに
沈んでいる……そんな光景だった。
あなた

あ、ああ……

血の気が失せるのを、
自分でも感じた。

くらっとしてふらつくと、
すぐに光くんが抱き留めてくれる。
逢沢 光希
逢沢 光希
おい、大丈夫か
なにも答えられないでいると、
優くんが私の手を引いて教室から離れる。
逢沢 優希
逢沢 優希
大変だ、手もこんなに
冷たくなって……
逢沢 光希
逢沢 光希
つか、どうなってんだよ、
これ……。ありえねえだろ、
人が死んでるとか……
逢沢 優希
逢沢 優希
わからない……しかも
さっきぶつかった子だよね
逢沢 優希
逢沢 優希
……あ、そこのふたり、
なにか知らない?
近くにいた女子たちに
優くんが声をかける。
クラスメイト2
クラスメイト2
突然、手首を切ったらしいの
クラスメイト3
クラスメイト3
それで笑いながら床に横になって、
ユリの花を天井に向かって、
投げ……て……っ
彼女たちは実際にその光景を
目の当たりにしたのだろう。

口元を手で押さえながら、
うっと吐き気を堪えているようだった。
クラスメイト2
クラスメイト2
ユリの花に囲まれて、
笑いながら死んだの……
あなた

どうして……

クラスメイト2
クラスメイト2
あの子、歳取っておばさんに
なるくらいなら、若いうちに
死にたいって言ってたんだ。
モデル志望だったし、
特別美意識強いって言うか
クラスメイト3
クラスメイト3
もちろん、冗談だと思ってたの。
でも、最近様子がおかしくて……
逢沢 優希
逢沢 優希
どうおかしかったのか、
話せる?
クラスメイト2
クラスメイト2
ずっとスマホばかり見てて、
私たちの会話にも交ざらなくなって……
クラスメイト2
クラスメイト2
それに目の下のクマもすごくて、
寝れてなさそうだった
クラスメイト3
クラスメイト3
まさか、本気で死ぬなんて……。
そこまで思い詰めてた
なんて思わなかったの
逢沢 光希
逢沢 光希
いくらなんでも、
そんな理由で死なねえだろ
あなた

(理由はなんにせよ、
あの子が思い詰めてたのは確かだ)

あなた

(だって、なんか焦ってたし、
いちばんは私の見た
死のビジョン……)

私の死のビジョンは
それがいつ起こることなのか、
正確にはわからない。
あなた

(でも、あの子が死ぬことは、
わかってた……)

あなた

どうして助けて
あげられなかったんだろう……

あなた

(私はまた、見過ごした。
誰かを助けるなんて無理なんだ。
亜子のときみたいに……)

逢沢 光希
逢沢 光希
なんで、お前が自分を
責めんだよ
あなた

それは……

ふたりにも、自分の力のことは話していない。

いくら幼馴染とはいえ、
こんな非現実的な話、
信じてもらえないと思ったからだ。
逢沢 優希
逢沢 優希
あなた、どうしてさっき、
あの子に『悩んでることが
あるか』なんて聞いたの?
あなた

それは……

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