クラスメイトが屋上から飛び降りたことで、
学校は今日も休校になった。
でも、私たちは帰ることなく、
先生の目を盗んでパソコン室にいた。
学校のパソコンで
配信者について調べていると……。
光くんが操作しているパソコンの画面を
優くんと覗き込む。
優くんの機転のよさと、
光くんの勇敢さは、すごく心強い。
本当に解決できるかもしれないって、
そう思わせてくれる。
こうして私たちは、
この学校で一番古い先生に
話を聞きに行った。
***
話を聞きに行ったあとから、
光くんの機嫌はすこぶる悪かった。
事情を知っていた先生は、
と、守るべき生徒に、
薄情な言葉をかけたのだ。
先生の話によると、
20年前に死の病が広まったのは、
【3-A】のクラスだったらしい。
やっぱりクラスの人間だけが死に、
生徒30人中、10人の死者が出たのだとか。
学校側は原因がわからず、
集団洗脳の類なのだろうと結論づけた。
私たちは先生に教えられた
20年前の【3-A】の生存者に
会いに行くために廊下を歩いていた。
励まされて心が前を向いたとき、
ふいに優くんが足を止める気配がした。
少し先で、私と光くんも立ち止まり、
優くんを振り返る。
光くんが優くんの元へ戻り、
その肩に手を置くと──。
優くんは無言のまま、
光くんを殴りつけた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。