文化祭は終わり、皆寮に戻り始めていた。
『櫂、一緒に帰んぞ。』
かっちゃんにそう言われたので、私は教室に忘れ物を取りに行って、昇降口で待ち合わせした。
櫂醨:あっ、あった。(良かった〜)
焦凍:、、、櫂。
櫂醨:ビクッ、、、な、なんだ、轟くんか〜、驚かさないで〜
焦凍:悪りぃ、、でも、俺、、櫂に言わなきゃいけねぇことがあるんだ。
櫂醨:どうしたの?
焦凍:、、、櫂っ、俺、櫂のこと、、好きなんだ。
櫂醨:、、、私も、轟くんのこと、大好きだよ??
焦凍:そういう好きじゃねぇ。恋愛的な、「好き」だ。
櫂醨:えっ、、、えぇ?!
焦凍:そ、そんなに驚くかよ、、1年のときから、櫂のこと好きだった。まぁ櫂は気づいてくんなかったけどな。
櫂醨:そ、そうだったんだ、、
轟くんの、予想外すぎる言葉に私は固まってしまった。
私は、「恋愛」を知らなかった。
いや、知ろうとしなかった。
もし知ってしまったら、自分が戦いの中で死んでしまったとき、
別れるのが辛くなるから。
もしかしたら、死ぬのを躊躇ってしまうかもしれないと思ったから。
轟くんにとって、私は今特別なんだ、、
でも、私は後数年で死んでしまうかもしれない。
そんな私を轟くんが好きだなんて、可哀想だよね。
私は、誰かを好きになって置いていきたくない。
置いてかれるのも嫌だと思う。
櫂醨:、、、ごめんね。
焦凍:っ、、(ダメ、、だったか?)
櫂醨:私ね、痣が出来ちゃったんだ。
焦凍:痣、、、?
櫂醨:うん。痣。
焦凍:痣って、、鬼舞辻と戦ってたとき櫂の頬にあった扇子の、、、?
櫂醨:見えてたんだ、、そうだよ。あの痣。
焦凍:っ、、俺は、痣なんて気にしねぇ!!
櫂醨:そういう問題じゃないの。
焦凍:じゃあ、、、
櫂醨:まぁ、痣、かっこ悪いし!轟くんの気持ち、嬉しいけど、、
焦凍:だから、痣なんて気にしねぇって、、、他に好きなやつ、いんのか?
櫂醨:いないよ〜、私、好きな人、作れないんだ。
焦凍:?(作れない?)
櫂醨:本当、ごめんね。、、、あ、そうだ。かっちゃん待ってるから、行くね。
焦凍:あ、おいっ、、
勝己:おせぇ、櫂。
櫂醨:ごめん、忘れ物、少し探してた。
勝己:マジおっせぇ。俺が待ってやってんだからもっと早く来いや。
櫂醨:ごめんって、かっちゃん。
ごめんね、轟くん。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。