帰り道も、もちろん一緒。
朝と同じように手を繋いで、ゆっくり歩く。
でも——
ふとした瞬間に、思い出す。
3人で笑っていたあの時間。
少しだけ、胸がきゅっとなる。
その変化に、自分でも気づいてしまう。
ちゃんと見てる。
すぐ気づく。
一瞬だけ、沈黙。
でも次の瞬間——
ぎゅっと手が強く握られる。
優しい声。
否定もしないし、無理に明るくもしない。
まっすぐな言葉。
逃げ場なんてないくらい、真っ直ぐ。
その一言に、胸がいっぱいになる。
自然と笑顔になる。
そして、また歩き出した。
あの日から、季節がひとつ巡った。
隣には、変わらず海斗がいる。
当たり前みたいに手を繋いで、
当たり前みたいに「好き」と言い合って。
でも——それが“当たり前”になるまでには、ちゃんと時間がかかった。
夕方の公園。
オレンジ色に染まる空の下、ブランコが静かに揺れている。
そこに——もうひとり、見慣れた姿があった。
思わず名前がこぼれる。
振り向いた海人は、一瞬だけ驚いた顔をして——すぐに、いつもの少しだけ皮肉っぽい笑顔に戻る。
海斗が軽く言い返す。
そのやり取りが、少しだけ懐かしい。
でも前とは違う。
空気が、ほんの少しだけ大人になっていた。
3人で並ぶ。
でも、あの頃みたいに無邪気ではいられない。
少しの間、沈黙が流れる。
最初に口を開いたのは——海人だった。
短い一言。
でも、その中に全部が詰まってる気がした。
その一言で、少し空気が変わる。
海人は少しだけ笑って、肩をすくめた。
“元々”。
その言葉が、すっと胸に落ちる。
少し照れくさそうに言うその姿に、胸が熱くなる。
言葉が詰まる。
でも、ちゃんと伝えたい。
まっすぐに言う。
海人は一瞬だけ目を逸らして——
ぶっきらぼうに返す。
でも、その耳が少し赤いのを、あなたは見逃さなかった。
海斗が軽く言う。
久しぶりに、3人で笑う。
あの頃と同じようで——でも少し違う笑い方。
それでも、確かに繋がってる。
海斗と2人で並ぶ帰り道。
静かなトーンで呼びかけた。
その一言に、胸が温かくなる。
笑いながらも、心臓は跳ねる。
そして、別れ際。
海斗はそっと、優しく
あなたを抱き寄せた。
耳元に届く、温かい声。
はっきり言う。
もう迷うことはない。
季節がまた巡っても、
関係が少しずつ変わっても、
あの日の気持ちは、ずっと変わらない。
幼馴染だった3人は、
それぞれの想いを抱えて、
それぞれの場所で前に進んでいく。
そして——
あなたの隣には、これからもずっと。
当たり前みたいに、海斗がいる。
その手を、もう離すことはない。
end.















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。