第18話

First Love 17
522
2021/10/31 16:31



Ryohei's side






とりあえず、しばらく暮らせるだけの荷物を運び出し、それ以外に必要なものは随時マネージャーさんにお願いをして、取りに行ってもらうことになった。




数時間前に出かけて、大きな荷物とともにまた家に帰ってきた。

あなたのメンタルを考えたら、買い物なんて行けるわけないしな・・・。
木村 良平
とりあえず、荷物後回しにして、コーヒーでも飲むか!
あなた
あっ、私が・・・。
木村 良平
お前はとりあえず休んでろ!
俺がやるから。
あなた
ごめん・・・。
木村 良平
だぁから!!
謝るんじゃなくて?
あなた
ありがと・・・?
木村 良平
そう!!分かれば、よろしい!



あなたがぎこちないけど、少し笑った。
まだ少し引き攣った笑顔だったけど、無理してでも笑えるだけまだ良かった・・・。



コーヒーカップを2つ持って、ソファに向かう。
お互いにコーヒーを一口飲んでから、本題へと入る。
木村 良平
あなた?ここから、ちょっと嫌な話になるけど、大事なことだから、できる限りで良いから話して欲しい。
あなた
・・・うん。
木村 良平
単刀直入に聞くけど、ストーカーに心当たりはあるか?


あなたは首をブンブン横に振るだけだった。
ちょっと落ち着いていた震えが再び戻ってきてる。
俺はあなたの肩を撫でて、少しでも安心できるようにした。
木村 良平
本当にか?俺はお前の交友関係や周りを全て知ってるわけじゃないけど、やっぱり元カレが怪しいんじゃないか?
あなた
ちがう、と思う・・・。
秋山くんは、あんなことする人じゃ・・・。
木村 良平
だって、別れてまだそんなに経ってないだろ?
あなた
そうだけど・・・。
わかんないけど、秋山くんでは無い気がする!
木村 良平
じゃあ、お前のファンか、本当に全く知らない人か?
あなた
それはわかんない・・・。


自分の身を守るように、あなたが体を小さくして前かがみにしていくから、これ以上この話をするのは難しいと思い、犯人に関する話をするのを止めることにした。
木村 良平
んじゃあ、これからの話だな!
部屋なんだけど、とりあえず物置部屋にしてるとこを片付けて、お前の部屋にしようと思うから・・・。
あなた
私は、良平が嫌じゃなければリビングに布団を敷いて寝ても良いよ?
これ以上、迷惑かけたくない。
木村 良平
だって、着替えや仕事のチェックがあるだろ?
あなた
着替えは洗面台を貸してもらえれば大丈夫!
仕事のチェックも、どうせイヤホンするし・・・。
木村 良平
じゃあ、せめて棚を壁代わりにして、部屋っぽくしようぜ!
あなた
分かった・・・。
あと家賃とか・・・。
木村 良平
ばーか!そんなとこは心配しなくて良いんだよっ。
あなた
じゃあ、せめて家事はやらせて?
ご飯作りとか、掃除とか!
洗濯物は流石に自分の分だけだけど・・・。
木村 良平
それもできる範囲で全然良いよ!
いつまで続くかわかんねぇから、お互い無理のないようにしようぜ!
あなた
分かった。
良平、ありがとう。
写真見られた時は迷惑かけたくないって言ったけど、それも本心なんだけど・・・。
だけど、あの時良平が一緒に居てくれたことで、すごく救われた。
木村 良平
良いんだよ!
今は同じ現場があるし!
なんたって、幼なじみだしな?




あなた's side




そう言われると、やっぱり自分は女として見られてないんだと思い、胸が苦しくなった。
気持ちがざわざわしたけど、これからは一緒に暮らしていくんだから、気まずくならないようにしなきゃ!
そして同居する上でのルールを話し合い、私は荷解きをして、明日以降の仕事の台本チェックをした。



晩ご飯は初日ということもあり、良平が作ってくれた。
木村 良平
今日は疲れたろ?せっかくの休みだったのに・・・。
あなた
そうだね・・・。この後、しばらく休み無しなんだよね・・・。
木村 良平
働くね~!
あなた
アルバムのレコーディングが本格的に始まるからね!
木村 良平
そっか!どんなに遅くても、ちゃんとここに帰ってこいよ!
変な気を回して、遅いからホテルに泊まるとか無しだぞ!!
あなた
分かった!
木村 良平
あと、これ!ここの家の合鍵。
あなた
ありがとっ!この鍵は、一体何人の女の子が使ったのかな?
木村 良平
残念でしたー!
この家に引っ越してから彼女いたことないから、お前が初めてだっ。
光栄に思えよ~!
あなた
はいはい・・・。有り難く使わせてもらいますぅ!



「初めて」って聞くと、やっぱり嬉しく思ってしまうのは惚れた弱みだろうか・・・。
口角が上がらないように我慢するのに必死だ。



同居初日ということもあり、お風呂を先に譲ってもらった。







Ryohei's side






あなたにとっては今日が辛い日だった筈だけど、俺はあんな事があったからこそ、どうしても傍に置いておきたかった・・・。
あなたを独りにはさせたくなかった。

早く犯人が捕まれば良いと思う反面、この生活が一日でも長く続けば良いと思ってしまう。
そんな事を考えてしまうほど、俺の中であなたの存在が大きくなってるんだよな・・・。



ハイボールを飲みながらそう思っていたら、風呂からあなたが戻ってきた。
あなた
お風呂、お先にありがとう!
すごく気持ち良かったぁ~。
木村 良平
おぉ!冷蔵庫に・・・って!?
おまっ・・・!?
その部屋着!!
あなた
何が?
これ、可愛いでしょ!?
めっちゃ気に入ってるんだ♡
そう言って、あなたがその場でクルっと一周回った。
部屋着はコットン素材のキャミソールにショートパンツ、上から丈の短いガウン風のものを羽織り、髪の毛は頭の上にゆるくお団子にしていた。

確かに可愛い!
そして似合ってる!!

だけど、無防備過ぎるだろ・・・。
あなた
えっ?変だった?
木村 良平
いや!似合ってるよ・・・。
あなた
ありがとー♡
あっ、ビール貰っても良い?
木村 良平
おぅ・・・。
あなた
良平も今日は疲れたでしょ?
早くお風呂行っといで!


本当にどこまでも人の気も知らないで・・・。
俺は、これから自分の理性と闘いながらあなたとの生活を送ることに一抹の不安を覚えた。







to be continued


かわいい女子が着ると、めちゃめちゃかわいくなるあの感じの部屋着分かります?
ほんとに自分の語彙力の無さに絶望します💦


First Love 番外編を作ってみました。
まだお読みでない方は、お時間がありましたら読んでみてください😊




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