Ryohei's side
あなたとラジオ録りが終わって、買い出しをしてから、晩ご飯作りに取りかかり、ようやく全部終わった!
俺と違って、酒飲みながら飯もしっかり食べたいヤツだからメインもちゃんと用意したし、今日は何を飲みたい気分か分かんないけど、一通りの酒は準備万端だ。
明後日の台本を見ながら、あなたが来るのを待つことにしたけど、全然集中できねぇ・・・。
ずっとそわそわしてて落ち着かない。
相手はあなたなのに。
今まで何度も俺ん家に来て飯食ったり、酒飲んだり、映画見たりしてるのに、こんなにも落ち着かないなんて!?
無駄に部屋の中をウロウロしていると、インターホンが鳴った。
相手を確認すると、待ちわびたあなたの姿があった。
オートロックを解除し、インターホンが鳴るとドアを開けた。
テーブルに料理と酒を並べ、遅めの夕食を始めることにした。
あなたは「美味しい」と頬張りながら喜んでくれた。
話はやっぱり『キミコイ』の話になり、どうやってこれから盛り上げて行くか、とか演技プランの話とか。
用意した食事も平らげると、あなたが直ぐに片付けようと席を立った。
そう言って、これでもかっていうくらいの笑顔をあなたに向けると、思いっきり顔を背けられてしまった。
さっさと片付けを済ませ、ソファに移動して次の飲み物を準備する。
あなたはひょこひょこ歩きながら、ワインセラーにボトルを取りに行った。
その後ろ姿がかわいくて、思わずニヤけてしまう。
彼氏さんと別れたって言ってたけど、急すぎねぇか?
つい最近、スタジオの下でたまたま会って、そのままデートしに行ってたのに・・・。
そう言って持ってきたのは、何年か前に賢雄のおいちゃんが初主演が決まった時にお祝いにくれた赤ワインだった。
俺はあなたからワインボトルを奪うと、新しい別のワインと取り替えて、主の元へ運んで行った。
グラスにワインを注ぎながら、本題を切り出す。
結局、肝心な中身は全然話そうとせずに、赤ワインを一気飲みをし、直ぐにグラスにワインをなみなみ注ぎだす。
本当においちゃんから貰ったワインを開けなくて良かったと心底思った。
冷蔵庫からペットボトルの水を持ってくると、先程注がれたワインは空になっていた。
そう言うと、あなたからグラスを外し、代わりに水を握らせた。
そう言って小首を傾げる姿がめちゃくちゃ可愛くて、思わず目を逸らし、首を縦に振ることしかできなかった。
あなたはニコッと笑ってから、ペットボトルの水を飲み始めた。
俺はその隙に冷蔵庫からぶどうジュースを取り出し、あなたのグラスに注いだ。
リビングに戻ると、あなたの瞳は完全に据わっていた。
そう言いながら、ワイングラスに入ったぶどうジュースを渡す。
あなたは文句を言ってたけど、これ以上飲ませたら明日は確実に二日酔いだろう。
中身を入れ替えた事にも気づかず、あなたはグラスを再び一気飲みした。
ん?さっきは普通にスルーしてしまったけど、
浮気はしてないけど、彼氏さんを傷つけて、自分の気持ちを伝えるのが怖い相手が・・・いる?
to be continued
良平くんと一緒にお酒飲む関係になりたーい!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!