第15話

First Love 14
530
2021/09/22 15:09



Ryohei's side





木村 良平
おしっ!全部できた!



あなたとラジオ録りが終わって、買い出しをしてから、晩ご飯作りに取りかかり、ようやく全部終わった!


俺と違って、酒飲みながら飯もしっかり食べたいヤツだからメインもちゃんと用意したし、今日は何を飲みたい気分か分かんないけど、一通りの酒は準備万端だ。



明後日の台本を見ながら、あなたが来るのを待つことにしたけど、全然集中できねぇ・・・。
ずっとそわそわしてて落ち着かない。


相手はあなたなのに。
今まで何度も俺ん家に来て飯食ったり、酒飲んだり、映画見たりしてるのに、こんなにも落ち着かないなんて!?



無駄に部屋の中をウロウロしていると、インターホンが鳴った。
相手を確認すると、待ちわびたあなたの姿があった。
オートロックを解除し、インターホンが鳴るとドアを開けた。





あなた
遅くなっちゃってごめんね・・・。
全然話がまとまらなくて。
木村 良平
それは大変だったな!
飯出来上がってるから、食べよう。
酒は何飲む?
あなた
今日はビール!
プハァってやりたい!!
木村 良平
ちゃんと冷やしといた!
ジョッキもキンキンに冷やしてあるからなっ!
あなた
さっすが、良平!!
今日のメインは何?




テーブルに料理と酒を並べ、遅めの夕食を始めることにした。
あなたは「美味しい」と頬張りながら喜んでくれた。



話はやっぱり『キミコイ』の話になり、どうやってこれから盛り上げて行くか、とか演技プランの話とか。
用意した食事も平らげると、あなたが直ぐに片付けようと席を立った。
あなた
ごちそうさま~!
本当にどれも美味しかったぁ。
片付けしちゃうから、良平はお風呂入ってきたら?
木村 良平
仕事で疲れてるだろうし、片付けは俺がやるよ!
一応、お前お客さんだし?
あなた
こんなに美味しいご飯を用意してくれたんだから、そのお礼!
それに私らの仲でしょ?
今さらお客さん扱いされてもね?
木村 良平
んじゃあ、一緒にやった方が早く終わるからそうしようぜ!
それにまだ肝心の話を聞いてないし、この後も飲むだろ?
あなた
うっ・・・。
そっちの話は・・・。
木村 良平
俺は良いんだよ?
喋るまで飲ますだけだから。



そう言って、これでもかっていうくらいの笑顔をあなたに向けると、思いっきり顔を背けられてしまった。


さっさと片付けを済ませ、ソファに移動して次の飲み物を準備する。
木村 良平
次は何飲む?
あなた
じゃあ、赤ワイン貰おうかな・・・。
木村 良平
好きなのワインセラーから持って来ていいよ。



あなたはひょこひょこ歩きながら、ワインセラーにボトルを取りに行った。
その後ろ姿がかわいくて、思わずニヤけてしまう。


彼氏さんと別れたって言ってたけど、急すぎねぇか?
つい最近、スタジオの下でたまたま会って、そのままデートしに行ってたのに・・・。
あなた
めっちゃ良いワイン見ぃつけたー♡


そう言って持ってきたのは、何年か前に賢雄のおいちゃんが初主演が決まった時にお祝いにくれた赤ワインだった。
木村 良平
ちょっ!?おまっ!
それはダメ!!
賢雄のおいちゃんに貰った高いワイン!!
あなた
じゃあ、絶対美味しいやつじゃーん♡
良平もハイボール止めて、赤ワイン飲もっ?
木村 良平
それはとっておきのだから、やけ酒用じゃないの!!
あなた
良平のケチーー!!
俺はあなたからワインボトルを奪うと、新しい別のワインと取り替えて、主の元へ運んで行った。



グラスにワインを注ぎながら、本題を切り出す。
木村 良平
んで?
何で別れたんだよ。
あなた
いきなり直球・・・。
木村 良平
遠回しに言ったってしゃーねーだろ?
あなた
私が彼を傷つけたから悪かったんだ。
木村 良平
えっ!?お前、浮気してたの?
あなた
浮気はしてない!!
浮気っていうか・・・あぁ!説明するのが・・・。
木村 良平
じゃあ、なんだよ。
あなた
私が悪かったの!
それでお別れしたの!
以上!!
結局、肝心な中身は全然話そうとせずに、赤ワインを一気飲みをし、直ぐにグラスにワインをなみなみ注ぎだす。

本当においちゃんから貰ったワインを開けなくて良かったと心底思った。
木村 良平
ちょっ!?そんな無茶な飲み方すんな!
今、水持ってくるから待ってろよ!
ワイン零すなよ?
ラグ、クリーニングしたばっかなんだかんな!!



冷蔵庫からペットボトルの水を持ってくると、先程注がれたワインは空になっていた。
あなた
良平・・・。
自分の気持ちを伝えるのって何でこんなに怖いんだろ。
木村 良平
そりゃ、悪いイメージばかり付きまとうからだろ。
相手の気持ちが見えてるなら、真っ直ぐにぶつかれるけどな・・・。
あなた
みんな両想いになれたら良いのに・・・。
木村 良平
そう簡単にいかねぇだろ。
あなた
分かってる・・・。
最初は一緒に居るだけで幸せなのに、どんどん欲張りになる・・・。
木村 良平
おまっ、大丈夫か?
あなた
だーいじょーぶっ!
この程度で酔っ払うあなたさんじゃないですよ~?
木村 良平
や、そっちもなんだけど、メンタル的によ!
あなた
だいじょぶっ!
ぜーんぜんだいじょぶっ!
木村 良平
酔っ払いの典型的な返しをありがとう。
なっ?そろそろ一回水飲んどけ?
そう言うと、あなたからグラスを外し、代わりに水を握らせた。
あなた
今日はとことん飲むの〜!
私のワインーー!
木村 良平
明日二日酔いになってもしらねぇぞ?
水飲んだら、次やるからそれ飲め!
あなた
約束だよ?
そう言って小首を傾げる姿がめちゃくちゃ可愛くて、思わず目を逸らし、首を縦に振ることしかできなかった。


あなたはニコッと笑ってから、ペットボトルの水を飲み始めた。


俺はその隙に冷蔵庫からぶどうジュースを取り出し、あなたのグラスに注いだ。


リビングに戻ると、あなたの瞳は完全に据わっていた。
あなた
ちゃんとお水飲んだよぉ?
はいっ!ワインちょーだい♡
木村 良平
もうこれで最後な!


そう言いながら、ワイングラスに入ったぶどうジュースを渡す。


あなたは文句を言ってたけど、これ以上飲ませたら明日は確実に二日酔いだろう。

中身を入れ替えた事にも気づかず、あなたはグラスを再び一気飲みした。






ん?さっきは普通にスルーしてしまったけど、
浮気はしてないけど、彼氏さんを傷つけて、自分の気持ちを伝えるのが怖い相手が・・・いる?
木村 良平
なぁ、お前。
他に好きなヤツ居るのか・・・?




to be continued



良平くんと一緒にお酒飲む関係になりたーい!!

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