12年前にあなたを拾ったときは、目は何も映していなかった。只々……宙を写していた。
でも中也がマフィアに入ってからあなたは段々笑うようになった。
私は少し嫌だった。あなたが笑っているのはいいのに、何故か苛立った。
昔はそれを嫉妬だと気づくことが出来なかった。今はしっかり理解しているけど。
あなたが私の部下と話しているだけでも苛ついた。
私は段々この苛立ちの理由に気が付いた。
私はあなたに恋をしているんだ……と。
そして同時に自分には振り向いてくれないとも分かった。
何故そう思ったかって?あなたはおそらく中也の事が好きだ。
そして、私のことはなんとも思っていないのだろう。
振り向かせることも出来るが、私の思いでこれ以上あなたを振り回したくない。
そう思ったから、あえて何もしなかった。
私はこの想いに気づいた時点で恋の終わりを悟った。
同時にこの想いに蓋をした……。
筈だった。
振り向いて貰えないと分かっていても、この思いは消すことが出来なかった。
あなたの母があなたを虐待していることがわかったとき、私は目の前が赤く染まった。
そして、静かにキレた。
その時はきっと私の殺気はダダ漏れだったのだろう。
あなたの母がかなり怯えていた。
まぁそんな事気にもとめずキレ続けたけど。
しばらくキレてたらあなたが来ていた。
私は瞬間的に現実に引き戻された。
そして傷が痛んだ。あなたが本気で怒ったところを私はまじかに見た。
そして、あなたを止めないといけないと、心の何処かで思った。
本気で殺そうとした瞬間異能で止めた。
母がパトカーに乗るのを見ているあなたは儚く消えそうだった。
全てが終わる頃にはあなたのテンションは元に戻っていたが、明らかに変わったことがあった。
あれ以来 彼女はどんな時でも作り笑いをするようになった。
そして突然に本音を言うようにもなった。
彼女がマフィアの本部に行くと行った時、嫌な予感がした。
私は止めようとしたが、彼女は異能を使って行ってしまった。
彼女が行った後に国木田くんに
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!