騒々しい音を立てて、私たちの斜め後ろに作っていた自分たちグループの“島”に雪崩れ込む。
(男子学生1)「は〜〜今日も無事焼きそばパンゲット」
(男子学生2)「おれは、コロッケパン♪」
学食内のパン販売でゲットしたらしい戦利品の報告で盛り上がる。
(男子学生3)「メシ飯〜〜」
と口々に何やかんやと騒ぎながら、早速某動画サイトの自分のお気に入りらしいチャンネルを再生。
(男子学生2)「昨日見たコレがさ〜〜」
と、話題に事欠かない。
(ハナ)「……まっ、アレはアレで騒々しいけど」
横目で一瞬彼らに視線を配り、若干の侮蔑を含んだ様なトーンのハナ。
まぁ、確かにね。でも実は、私はそんなに嫌いって程じゃない。騒がしい割には意外とクラス行事にも協力的だし、掃除だってきちんとする。
却って陰湿な苛めとかしない分、タチが良い。
(私)「ハナは、リア充系苦手だもんね」
(ハナ)「いや別に苦手ってほどじゃないけど。好みじゃないって、だけ」
うん。一応これでも4月にクラス替えがあってからそれなりに一緒に過ごして来ただけあって、ハナの好みは割と熟知してる、とは思う。
ハナの好みは所謂年上の、清潔間溢れるタイプなのだ。
(ハナ)「でね、話変わるんだけど」
さっきまでの私の大人しい、はどこへやらと思いつつ急に真剣になって、ハナは私の顔を覗き混む。
戸惑いつつ、ハナのその先の台詞を待つ。
(ハナ)「わたし……」
(私)(むむ…っ?!)
(ハナ)「今度、先生と食事に行くことになったんだ」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!