(※)タイトルに入りきらなかったので。Chapter2-11になります。)
それから、時間にして3時間後。
駅員室での、簡単な事情聴取。
二人でパトカーに乗せられて。
警察署に移動してからの詳しい事情聴衆。
改めて犯人の確認ーーー
諸々の全てが終わった頃には、時計の針はすっかり12時を回ってしまっていたーー……
ブロロロロ…
エンジンの発信音と。排気ガスを小気味良く吹き出しながら、学校近くの駅前まで私達を運んだ覆面パトカーが走り去っていく。
(はー……やっと、解放された……)
「はは、やっと解放されたって、顔してる」
こっちを覗き混んで、彼が小さく笑った。
「……べ、別に……っていうか何で」
(わかるの?)
って訊こうと思ったけど。その続きは何だか言葉にならなくて。
「顔に出てる」
「へっ?!」
思わず間の抜けた声を出してしまう。
「さーこれからどうすっかねぇ」
私のアワアワした胸中も全然眼中になく。フワフワと頭の後ろで手を組んで。
なんていうか、めっちゃマイペース……
「な、浪川くん?は……どうするつもりなの… 」
警察署の中の。事情聴取の時にようやく知った彼の名字を口にする。
「あ。堅苦しいからいいよ、楓麻で」
「えっ?!」
「えっと。俺も下の名前で呼んでいい?っていうか、普段何て呼ばれてるの?」
いきなり過ぎるね、うん。
いや……別にそれほど嫌って、訳でもないけど。
でも何?ちょっと……いや大分?なんかライトっていうか、軽いっていうか……
「え……エミとか?」
「何それ普通」
「(……ピキッ)」
迷った挙げ句に捻りの聞いた回答も出来ず。
っていうか、エミとかエミちゃん以外に大した呼び名も無かった私は、普通も何も、これが最善で平凡な答え。
「……まぁいいや。じゃ、エミちゃん」
そこまで言って、彼の口元がニヤっとほどけた。
「午後の授業、サボっちゃわない?」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。