第21話

Chapter2-x 仄かな企み
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2019/03/13 17:17
Chapter2-x


「うん。上出来だよ」

湿っぽくて、埃っぽい…… 何処かのとある雑居ビルの一室。

艶やかで、でも若い。
少年の声……

「威勢が良いのもキライじゃないけど、嘘つきさんはどうかな」

仄かに見えるのは、蝋燭の焔……

「“敵を欺く為の嘘”ならいいね」

会話の先の相手の声は、聞こえない。

ただ、何処と無くカビ臭さを感じる様な古い建物の臭いだけが辺りに漂っている。

「ああ…獲物?もう目星はついてる、おーけー。抜かりなく、ね」

そして、薄い煙の筋が揺れるー…香、の薫りが薄汚い湿気を帯びた空間の中に奇妙な艶やかさをもたらして。

「夜が待ち遠しい………」

蝋燭の灯りに揺られながら、少年は口許の両端をそっと、持ち上げたーー…

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